六人の連携
黒き巨体が咆哮を放ち、瘴気が波のように押し寄せた。
封印地の空は赤黒く染まり、地は震え続ける。
「結界じゃ抑えきれない……!」リュシアが杖を握り締め、必死に陣を維持する。
「だったら俺が前に出る!」ジークが吼え、剣を大上段に振り下ろす。
火花が散り、甲殻がひび割れる。
「今だ、隙ができた!」アルトが即座に追撃し、剣を突き立てた。
二人の連撃で怪物の片腕が一瞬止まる。
◇
「まだ動きが速い……! ミナ!」
アマネの声に応え、ミナは腰の装置を起動させる。
「行くよ、《磁束網射出》!」
金属のワイヤーが弾丸のように放たれ、怪物の脚部を絡め取る。
「よし……! カイル、援護を!」
「任せろ!」
カイルの祈りがワイヤーを光で強化し、瘴気に焼き切られず保持する。
巨体が膝を落とし、重々しい衝撃音が大地を揺らした。
◇
「アマネ!」リュシアが叫ぶ。
「今なら行ける!」
「うん!」アマネは 《星映刀》 を握り、全身に魔力を巡らせた。
「――《星閃一刀》!」
光を纏った斬撃が放たれ、怪物の甲殻を大きく切り裂く。
黒い血と瘴気が飛び散り、怪物が耳を裂くような絶叫をあげる。
「効いてる!」ジークが吼える。
「このまま押すぞ!」
◇
怪物は反撃の腕を振り上げたが、リュシアが即座に大陣を展開する。
「《光律聖陣》!」
仲間を覆う光の紋様が発動し、瘴気の刃を防ぎながら同時に傷を癒す。
「ありがとよ、リュシア!」ジークが笑い、再び剣を握り直す。
「まだ終わっちゃいない!」
アルトも隣に立ち、冷静に声を飛ばす。
「全員の力を噛み合わせろ! 奴は止められる!」
◇
「……そうだ」カイルの瞳が光を帯びる。
「勇者と聖女だけじゃない。俺たち全員の力で!」
その言葉に、六人の息が自然と重なる。
アマネとリュシアを中心に、ジークとアルトが前衛を支え、ミナが道具で隙を作り、カイルが祈りで全員を繋ぐ。
六人の連携が、初めて完璧な形を見せ始めていた。
◇
怪物の咆哮が空を揺らす。
だが六人は怯まず、光をまとって立ち向かう。
「行こう!」
アマネの声に、仲間の声が重なった。
「「おおッ!」」
六人の戦いは、いよいよ決着の時を迎えようとしていた。
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