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怪物との決戦

封印地の空気が震えた。

黒と赤の瘴気が渦を巻き、宰相と教皇の姿は完全に呑み込まれていた。

そこに立つのは、甲殻に覆われた異形の巨躯。

四本の腕は刃のように尖り、背には瘴気の翼が伸びる。

頭部には二つの顔が半ば融け合い、歪んだ口からは低い咆哮が漏れた。

「……これが、欲望の果てか」アルトが唇を噛む。

「もう……人じゃない」リュシアの声は震えていた。

だがアマネは一歩も退かず、刀を強く握った。

「それでも……倒すしかない」

怪物が腕を振るった瞬間、大地が抉れた。

瘴気の刃が奔り、地を裂いて一直線に迫る。

「避けろ!」ジークが仲間を押しのけ、正面から剣を叩きつける。

金属のような衝撃音が響き、剣が弾かれる。

「ぐっ……硬ぇ……!」

その隙に、もう一方の刃が振り下ろされる。

「ミナ!」カイルが叫んだ。

ミナは素早く腰のポーチを開き、光を帯びた爆弾を投げた。

「これでどう! 《閃光破弾》!」

爆発とともに閃光が走り、怪物の動きが一瞬止まる。

「今だ!」アルトが飛び込み、剣を突き立てる。

だが甲殻に阻まれ、刃はわずかにしか食い込まない。

「ちっ……通らねぇ!」

「なら……!」リュシアが杖を振り、魔法陣を展開する。

「《星炎氷閃》!」

炎と氷が交差し、怪物を包み込む。

爆炎と極寒の波が甲殻を削り、黒煙が上がる。

「まだ足りない……!」アマネが刀を地に突き立てた。

「《星護結界》!」

光の壁が展開し、仲間を覆う。

怪物の瘴気の波動が直撃するが、結界が軋みながらも受け止めた。

「持ちこたえてる……!」カイルが祈りを紡ぎ、結界に光を流し込む。

結界がさらに輝きを増し、仲間の前に立ちはだかる壁となった。

怪物は咆哮をあげ、瘴気をさらに膨れ上がらせる。

その力は、宰相と教皇の欲望が形を変えたもの――

人の枷を外そうとした代償。

「……これが不滅を夢見た末路か」アルトが低く呟いた。

「夢のために全部を失った……」リュシアの瞳が揺れる。

「だから、止めるんだ」アマネの声が仲間に届いた。

「ここで終わらせる! 六人で!」

六人は再び陣を整え、怪物へと挑んでいく。



お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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