出発—封印地へ
夜明けの空はまだ赤みを帯び、東の地平線から差す光が荒野をわずかに照らし始めていた。六人は肩を並べ、ルナリアの瘴気漂う大地を踏みしめて進む。ネビロスとの死闘を終えた彼らの表情には疲労が刻まれていたが、その瞳は確かに前を向いていた。
アマネが刀を腰に下げ直し、仲間を振り返る。
「……行こう。封印地まで止まるわけにはいかない」
リュシアが頷き、杖を握りしめる。その隣でカイルは護符を胸元に仕舞い、短く息を整えた。アルトとジークは先頭に立ち、荒野を切り拓くように歩む。後衛にはミナが控え、器具の詰まった袋を肩に掛けていた。
◇
進むごとに、自然の色は薄れ、地表はひび割れ、黒ずんだ瘴気が濃く漂い始める。やがて、地の裂け目から魔物が這い出す音が響き、前方に小規模な群れが姿を現した。狼の姿に似ていながら、目は濁り、体毛は瘴気に蝕まれている。
「来るぞ!」
ジークが剣を構え、唸るように叫ぶ。アルトも同時に剣を抜き、仲間を庇うように前へと出た。
アマネの刀が一閃し、光の軌跡が群れを薙ぎ払う。リュシアが即座に光の魔法陣を展開し、後方を守る。ミナは爆裂弾を投げ込み、轟音と閃光で魔物の足を止めた。その隙をカイルが祈りで浄化し、群れは崩れ落ちていく。
「悪くない連携だな」
ジークが笑みを見せ、アルトは冷静に剣を収めた。
仲間たちは呼吸を整えながら再び歩みを進める。瘴気に満ちたこの荒野は、確実に封印地への道を狭めている。それでも彼らの背には、共に戦う仲間の存在があった。
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