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奏の会—ギルドに集う

夕暮れのトワイライト。

広場のざわめきが収まり、ギルドの木造庁舎には人々の明かりが灯っていた。

会議室に集ったのは、見慣れた仲間たちと――新たな顔ぶれ。

「改めて紹介するわ。エルヴァイン公爵家の長女、クラリスです」

アマネが紹介するより先に、本人が堂々と一歩進み出る。

プラチナブロンドの髪がランプの光に揺れ、碧眼がきらめいた。

「――私は奏の会のリーダー。そして今日から、この街の仲間として働くわ」

「グランディール公爵家次男、ユリウスだ」

背筋を伸ばした青年が深々と頭を下げる。

「これまでは……父の命令で皆を監視していた。だが宰相が消えた今、俺は俺の矜持で動く。どうか受け入れてほしい」

カイルは一瞬驚き、すぐに柔らかな笑みを浮かべる。

「矜持か。ならば――ここで示してくれ。街は、理屈より行動を求めている」

ユリウスの瞳がまっすぐに光った。

「おう! 待たせたな!」

豪快な声と共に扉が開く。

短髪を逆立てた逞しい青年――ダリオが、笑顔でジークの肩を叩く。

「ここが噂のトワイライトか! 任せろ、治安は俺が守ってやる!」

「お前が来るなら百人力だ!」ジークも豪快に笑い返す。

二人の手が強くぶつかり合い、木造の壁が響いた。

「……ふふっ、相変わらず騒がしいわね」

後ろから現れたのは赤茶の髪を三つ編みにした少女――セリーヌ。

「私は市場を整えるわ。交易が滞れば、人はすぐ不安になるもの。ミナ、力を貸してくれる?」

「もちろん! 資材も在庫も管理は私の得意分野だから!」

二人が資料を広げ、既に打ち合わせを始める。

最後に小柄な黒髪の青年が入ってきた。

「……僕はトーマ。庶民代表、ってわけじゃないけど……声を拾う役なら、任せてくれ」

カイルが頷き、にやりと笑う。

「お前と議論するのは楽しみだ。民の声を伝える翻訳者、待ち望んでいたよ」

二人の視線が交差し、静かな火花が散る。

こうして――

勇者を支えた学園の小さな輪「奏の会」は、

今、ギルドという形で街に再び根を下ろした。

アマネは胸の奥で小さく呟く。

(……ありがとう、クラリスさん。みんな。また一緒に歩けるんだね)

彼女の笑みを見て、クラリスは碧眼を細めた。

「ええ、アマネ。奏の会は――ここからが本番よ」

夜のトワイライトに、新しい仲間たちの灯がともった。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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