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プロローグ—森に走る赤光
森の奥、夜の霧に冷えが滲む。
縛られた亜人の胸に刻まれた紋様が赤黒く光り始めた。
「三年……ついに成果が見えるな」
低い声が響き、ローブの三つの影が取り囲む。
亜人は悲鳴をあげ、肉体が引き裂かれるように震える。
角が伸び、背が膨れ、声は獣の咆哮に変わる。
「まだだ……制御しきれていない」
「繰り返せば、必ず……」
赤い光が爆ぜ、木々を揺らした。
その場を離れた影があったことを、三人は気づかない。
——その夜から、ルナリア各地で「正体不明の大型魔物」の報せが広がり始めた。
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