男子会—未来への誓い
夜も更け、寮の一室。
窓から差し込む月明かりと、卓上のランタンだけが男たちを照らしていた。
ジークが手にした瓶を軽く掲げる。
「……さて、女子たちはあっちで恋バナでも盛り上がってる頃だろうな」
アルトとカイルが苦笑する。
「聞かされたら赤面するようなことを平然と話してるんだろうな」
「……想像するだけで怖いな」
場の笑いが落ち着いたところで、ジークが真剣な眼差しを向けた。
「なら、俺たちは俺たちで語ろうぜ。どう生きたいか、どうなりたいか――未来の誓いだ」
アルトとカイルが視線を返す。
ジークは迷いなく言葉を吐き出した。
「俺は必ずギルドを作る。身分も家も関係なく、人を救える場所をな。貴族でも市民でも、同じ仲間として魔物に立ち向かえる組織……それが俺の夢だ」
その熱に押され、アルトがゆっくりとうなずいた。
「なら、俺は……兄上と共に、この国を支える為政者になる。勇者であるかどうかじゃない。王族として、国を導ける人間になる。それが、俺の役目だ」
静けさが訪れる。
カイルが少しだけ視線を落とし、言葉を選びながら口を開いた。
「僕は……教会を正す。形式や掟に縛られて、人を人として見失う場所じゃなくす。そのために、まずは僕自身を鍛える。父にも、教皇にも負けない力を持って」
三人の言葉が夜に重なった。
ジークが拳を突き出す。
「それぞれの道を進む」
アルトも拳を重ねる。
「でも、仲間として共に立つ」
最後にカイルが重ね、三つの拳が一つになった。
「そして――大切な人を守る」
小さな誓いの声が、夜の静寂に吸い込まれていった。
それはまだ少年の決意にすぎない。
けれど、この夜の言葉が、未来を動かす力になることを、三人とも確かに感じていた。
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