女子会—胸の内を打ち明けて
寮のお泊まり部屋。
窓から入る秋の風がカーテンを揺らし、机の上には残り少なくなったケーキの皿。
アマネ、リュシア、ミナの三人は、ふかふかの布団にパジャマ姿で腰を下ろしていた。
「いやー、今日ほんっと大イベントだったね」
ミナが両手を伸ばしながら笑う。
「まさか学園中巻き込んで誕生日パーティになるとはさ」
「びっくりしたよね」アマネがくすくす笑う。「でも……嬉しかった」
「うん……」リュシアもそっと微笑む。頬はまだほんのり赤いままだ。
ミナはじろりとリュシアを見た。
「でさぁ、リュシアは? カイルのこと、好きなんでしょ」
「っ……!」
リュシアは思わずクッションを抱きしめる。耳まで赤くなり、しばし口を開けない。
「そ、それは……」
「誤魔化してもムダ!」ミナが畳みかける。「今日だって、カイルからロザリオもらったじゃん? あれ完全に“本気”でしょ」
リュシアは小さく唇を震わせた。
そして――観念したように目を伏せる。
「……はい。大好き、です」
アマネとミナが同時に「おおー!」と声を上げる。
リュシアは恥ずかしさに顔を隠したが、口元は自然と笑みを帯びていた。
「ふふっ、やっぱりね」アマネが嬉しそうに言う。「あのロザリオ、大事にしてるの見て、そうかなって思ったんだ」
「……アマネは?」ミナが今度は鋭い視線を向ける。
「アルトから何もらったんだっけ?」
「えっと……鞘飾り」アマネが少し照れくさそうに腰の剣を示す。小ぶりなリボンと魔除けの刻印が揺れていた。
「可愛いのに、守りの意味もあるんだって。アルトが『隣にいると安心できるように』って」
「やーん! 甘い! 青春してる!」ミナが転げるように布団に倒れ込む。
「アマネもちゃんと恋してんじゃん」
「こ、恋って……」アマネは頬を赤くしてうつむく。「でも……アルトが隣にいると、不思議と安心するのは、本当」
「もう隠せないね、これは」リュシアもくすっと笑った。
アマネは「やめてよー」と抗議したが、どこか嬉しそうだ。
ミナは勢いよく手首を突き出す。
「ほら、見て! これ、ジークとおそろいのブレスレット!」
革紐に小さな石をはめ込んだ手作り感あふれるそれを、誇らしげに見せる。
「次はあんたたちも、ちゃんとおそろいの何か持ちなさいよね!」
「ちょ、ちょっとミナ!」リュシアが慌ててクッションを投げる。
「そ、そんな簡単に……!」
「わ、私もまだ……!」アマネまで真っ赤になり、笑い声が部屋に弾けた。
――笑いと恥じらいが交錯する空間。
リュシアは胸に手を当てて、小さくつぶやく。
「大切にしたい人がいるって……幸せだね」
アマネもうなずく。「うん、すごく」
夜更けまで続いたガールズトークは、甘酸っぱくて、あたたかかった。
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