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影狼の群れ—連携の刃

森の奥から、低い咆哮が響き渡った。

赤い瞳が闇の中で幾重にも光り、影が蠢く。

「来るぞ――!」

ガロウの叫びと同時に、影狼の群れが村へ雪崩れ込む。

ジークが大剣を振り抜いた。

「はああっ!」

鋼鉄のような腕力で、先頭の影狼を地面に叩きつける。

すかさずミナが双短剣を閃かせ、別の一体の喉元を正確に裂いた。

「ジーク! 右は任せて!」

「助かる!」

二人の呼吸は完全に噛み合い、前衛として壁を築く。

後方からアルトが号令を飛ばす。

「カイル、俺の剣に合わせろ!」

「了解!」

アルトの剣が鋭く閃き、カイルの魔術が重なる。

風の刃がアルトの突進を後押しし、三体まとめて吹き飛ばす。

「一撃が重い……!」

教師たちも目を見張る。勇者候補班の二人は、すでに堂々と主軸を担っていた。

その横で、アマネが刀を抜いた。

「皆、後ろ! 左からも来る!」

直感的に動き、影から飛び出した別働の群れを切り裂く。

鋭い斬撃が、狼の影を裂き、消散させた。

「……読める。動きが」

体が自然に反応する。コルネリア戦で覚えた“戦場の感覚”を、今度は自分の意志で操っていた。

リュシアは必死に両手を組み、聖光を放つ。

「【聖障壁】!」

村人を囲う防壁が展開され、飛びかかってきた影狼が弾かれる。

しかし数が多い。防御だけでは押し切られる。

イレーネが背後から声を飛ばした。

「リュシア! 攻めなさい! 守るために、時には矢を放つの!」

「……私が、攻撃を……」

震える指先に光を宿す。

「【聖なる光矢】!」

放たれた光の矢が影狼の額を貫き、黒い霧となって散る。

村人たちが息をのんだ。

「聖女様が……戦っている……!」

リュシアの瞳に迷いはまだ残っていた。

けれど、その一撃で確かに誰かを救えた。

「……怖い。でも、これで……守れるなら!」

仲間たちの声が飛ぶ。

「ナイスだ、リュシア!」(ジーク)

「そのまま続けて!」(アマネ)

皆の言葉に背を押され、リュシアは矢を次々と放った。

戦場は混沌としながらも、確実に討伐の手応えが広がる。

だが――森の奥から、新たな影が蠢いていた。

腐食したような咆哮。影狼よりも大きく、背から黒い粘液を滴らせている。

「……ボスか」カイルが低く呟く。

「影狼と腐食スライムが……融合している?」

ガロウが歯噛みする。

「厄介だぞ! あれは村を壊滅させかねん!」

仲間たちが身構えた。

ここからが本番――。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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