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崩れ落ちる影—黒聖女の最期

崩れ落ちる修道院。

闇の光を纏ったコルネリアの身体は、アマネの一閃によって砕かれ、核の黒き輝きが虚空に散った。

「……っ……あぁ……」

膝をつき、崩れ落ちながら、コルネリアの声が震えた。

「私は……聖女になりたかった……それだけ、なのに……」

リュシアが駆け寄り、涙に滲んだ瞳でその手を取る。

「あなたも……ずっと、祈っていたのね」

その言葉に、コルネリアの唇がかすかに震え、光の粒となって消えていった。

カイルは胸に手を当て、静かに祈る。

「安らかに……どうか、人として」

彼の声は形式ばったものではなく、ただ一人の少女を悼む祈りだった。

修道院の外――。

地響きと共に吹き飛んだ扉から、民衆が押し寄せ、混乱の中で声を上げる。

「殿下が……悪魔を討ったのか!」

「いや……違う、最後に刃を振るったのは……あの少女……?」

「だが、あれは……名も知らぬ娘ではないか」

群衆の視線はアルトに、そしてアマネに交互に注がれる。

アルトはただ黙して仲間のそばに立ち、アマネは剣を収めながら振り返らない。

仲間の輪の中――。

ジークが息を吐き、「……やるじゃねぇか」と低く呟く。

ミナは声を震わせ、「本当に……切っちゃったんだ……」

リュシアは涙を拭いながら、「……やっぱり、光を呼ぶのはあなた……」と小さく。

カイルはただ見つめ、心の奥で「勇者なのは――」と言葉にならない思いを飲み込む。

群衆のざわめきはやまない。

「勇者は殿下だ!」

「いや……あの少女が……」

光と影の中で、その答えはまだ揺れていた。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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