表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

133/471

舞踏会の幕開け—光と変化

学院大講堂。

天井から吊るされたシャンデリアが宝石のように輝き、楽団の奏でる優雅な調べが広間を満たしていた。

一年前と同じ舞踏会。しかしその空気は、去年のぎこちない初舞台とは明らかに違っていた。

「すごい……去年よりずっと華やかに見えるね」

アマネが小さく息を呑む。緊張よりも、自然に場へ溶け込むような存在感をまとっている。

アルトは横目で彼女を見ながら、心の奥で強く思った。

(勇者の肩書きなんて関係ない……。俺が守りたいのは、この隣の彼女だ)

先陣を切ったのは、ジークとミナだった。

堂々と腕を取り合い、音楽に合わせて舞う二人。

「おお、あの二人……やっぱり付き合ってるんだって」

「騎士科のエースと、商科の才女……!」

周囲がざわめき、視線が集まる。だが二人はそれを気にせず、楽しげに笑っていた。

ジークの力強いリードと、ミナの軽やかなステップ。互いを信じ切った舞は、誰もが羨む輝きを放っていた。

その様子を見守るリュシアは、自然な笑顔を浮かべていた。

「……素敵です」

かつて「笑ってはいけない」と抑え込まれた彼女が、今は当たり前のように仲間と笑い合っている。

隣のカイルは一歩引き、冷静に会場を見渡していた。

(去年なら分析ばかりしていた。でも今は……ただ、皆の笑顔を見ていたい)

感情を抑えるのではなく、受け入れ始めた自分に気づき、少しだけ口元が緩んだ。

「アルト、行ってみたら?」

ミナが休憩中に軽く肘でつつく。

「えっ……いや……」

言い淀むアルト。隣のアマネも首を傾げる。

「私? え、でも……」

お互いに視線を逸らし、ぎこちなく笑う。

その様子に、周囲の仲間たちが「まだまだだな」と微笑ましく目を細めていた。

華やかな音楽の中、舞踏会は更なる盛り上がりを見せていく。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ