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仲良し三人娘の再会—恋と声と

学園にリュシアが戻ってきた。

その知らせを聞いたアマネとミナは、思わず抱きつくように迎え入れた。

「よかった……ほんとに、戻ってきてくれて!」

「寮の部屋がやっと揃った感じするわ!」

涙ぐみながら笑う二人に、リュシアは少し照れながらも「ただいま」と返した。

その言葉だけで、三人の胸の奥に溜まっていた不安はほどけていった。

夜、寮の一室。

お泊まり会のように部屋着で集まった三人は、枕を抱え込みながら語り合っていた。

「……それにしても、庵での告白はすごかったよね」

アマネがクッションに頬を押しつけながら、ぽつりと切り出す。

「ミナが“ジークのこと好き!”って、あんな堂々と……」

「や、やめてよぉ!」

ミナは慌てて枕で顔を隠した。

「今思い出しても心臓バクバクするんだから!」

「でも、すごく素敵だった」

リュシアは微笑んで、二人を見つめる。

「……私もね、カイルのこと……好きかもしれない」

不意に告げられたその言葉に、部屋の空気がふわりと変わった。

「えっ」

アマネとミナが同時に目を見開く。

「だって……あの時、教会で私を見て、必死に声を届けようとしてくれた。

あの姿を思い出すと……胸があったかくなって……」

リュシアの頬がかすかに赤く染まった。

「リュシア……」

ミナが枕をぎゅっと抱き直す。

「それ、立派な恋だよ」

「……そっか」

リュシアが小さく笑った。その笑顔は“人形”だった頃には見せられなかったもの。

「ねぇ、アマネ」

今度はミナが少し声を潜める。

「アルトのこと……気づいてる?」

「えっ?」

リュシアも小さく頷いた。

「うん。あの人の視線……あなたを見てる時だけ違う」

アマネはぽかんと二人を見返す。

「え、えぇっ!? そ、そんなの……」

頬が熱くなり、言葉に詰まった。

「でもね」

リュシアが穏やかに続ける。

「アマネがどう思うかが一番大事。……無理に答える必要はないのよ」

「う、うん……」

アマネは枕を抱えたまま、視線を落とした。

――“そんな風に見られてたの?”

胸の奥が、妙にざわついていた。

三人の笑い声と小さな秘密は、夜の学園に溶けていった。

友情の中に、それぞれの「恋の芽」がそっと息づき始めていた。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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