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準備の灯—仲間の決意

夜の学園の寮。

灯りの落ちた部屋に六人が集まり、机の上に広げられた紙を囲んでいた。

アメリアから得た「裏通路」の情報が、粗末な地図の形で記されている。

ジークが腕を組み、低く唸った。

「……なるほど。裏から潜れば気づかれにくいが、外れりゃすぐ修道院の兵に囲まれるな」

「でも他に道はないよね」

ミナは真剣な顔でペンを走らせる。

「私、煙幕用の錬金薬を作っておく。あれなら一瞬で視界を奪えるし、逃げる時間くらいは稼げるはず」

「僕も準備する」

カイルが静かに言った。

「教会の文書を調べて、通路の正確な位置を割り出してみる。……父に知られないように」

アルトは地図を見つめながら、静かに口を開く。

「俺は王城の方に掛け合う。表立った助力は望めないが、せめて“民衆が騒ぎ立てないよう”に調整しておく」

「わたしは……」

アマネは少し考え、拳をぎゅっと握った。

「リュシアの声を信じる。もしまた人形みたいに振る舞っていても、絶対に心を取り戻してもらうんだ」

その言葉に、皆の顔に静かな熱が宿った。

縁側の外で風が吹き抜け、障子がかすかに揺れる。

カグヤが尻尾をふわりと振り、まるで「頑張れ」と言っているかのように仲間たちを見守っていた。

作戦を練り終えたあと、皆はそれぞれの思いを胸に寮へ戻っていった。

ただ一人残ったカイルは、机の上の地図をじっと見つめていた。

(……リュシア。君の声を、もう一度聞かせてくれ)

胸の奥で囁く決意は、誰にも見せないほど強く燃えていた。


お読みいただきありがとうございます。いけるところまで連続投稿!(不定期ですが毎日目標)。

面白かったらブクマ&感想で応援いただけると嬉しいです。


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