仲間の輪—共に挑む誓い
学園の談話室。夕暮れの光が窓から差し込み、橙色に染めていた。
六人は円を描くように集まり、テーブルには温かな湯気の立つ茶器が並ぶ。
「……リュシア、本当に人形みたいだったのか」
ジークが低い声で問う。拳は膝の上で固く握られている。
「ええ」
カイルは頷いた。
「けれど……最後の祈りの時、ほんの一瞬だけ――“私は私でいいの?”と呟いたんです」
ミナが驚いて目を見開いた。
「そんなことを……! それって、まだリュシアの心が残ってるってことじゃない!」
アルトは黙っていたが、深く頷いた。
「なら、きっと取り戻せる。彼女自身の声を」
その言葉に、アマネも力強く同意する。
「うん。だってリュシアは、私たちの仲間だよ。絶対に」
皆の視線が一斉にカイルに集まる。
胸の奥で熱を押し上げるようにして、彼は立ち上がった。
「僕は……リュシアを取り戻す」
声は震えていなかった。
「でも、僕ひとりではできない。形式の壁も、教会の圧力もある。だから――皆の力を、貸してほしい」
言葉の余韻が部屋を満たした。
ジークはにやりと口角を上げる。
「言われなくてもやるさ。仲間を放っとくなんざ、性に合わねぇ」
「ま、効率とかどうでもいい時もあるしね」
ミナが笑って肩をすくめる。
アルトは真剣な眼差しでカイルを見た。
「俺も。……仲間を救うためなら、王子としてじゃなく、ひとりの友として戦う」
アマネは小さく拳を握って、にっこりと笑った。
「もちろん一緒に行くよ! リュシアの声を、もう一度聞きたいから」
仲間たちの答えに、カイルの胸の奥が熱くなる。
彼は深く頭を下げた。
「ありがとう……必ず、彼女を取り戻そう」
夕陽が差し込む窓の外、学園の鐘が静かに鳴り響いた。
その音はまるで、新しい決意を祝福しているかのようだった。
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