1.笑顔
幕末、活躍した新選組の1番隊長沖田総司と紗那の話です。
きっとハッピーエンドにはならないと思います・・・
切ない感じにしていくつもりです。
それでもOKという方はどうぞ↓
「ゴホゴホッ」
庭先で咳が聞こえた。
しゃがみこんだ青年が一人、肩を震わせている。
「総司さんッしっかり」
咳を聞きつけ駆けてきた女性が総司の背をさすった。
「紗那…」
総司がくるりと振り返ると、紗那は鬼の形相で睨んでいた。
「総司さんッ!何しているんですかッ」
えっ?
と不思議そうな顔で問い返す総司に
「それですよ」と
竹刀を指す。
「あ…これは――」
「無理しちゃあいけません!お部屋で寝ていてください」
言うが早いが竹刀を鷲掴みにし、ずかずかと歩いていく。
「あ、紗那…」
「真剣のほうもしばらく預かります」
総司の寝室に掛けてある菊一文字のことである。
「だめだ、紗那!あれは―――」
総司は紗那の腕を引く。
振り返った紗那に笑顔で、
「心配かけてごめん。あれは持ち出したりしないから。ね?」
いいでしょ?
と聞く総司を、紗那はズルイと思った。
そんな可愛らしい笑顔で言われては――
「分かりました。約束ですよ」
「ありがとう」
「そ、それから…そろそろ手を放して、ください。痛いです」
紗那の顔は真っ赤である。
なのに総司は面白がって、
「優しく握ってるつもりだよ」
「――!!も、もう部屋に戻って寝ていてくださいッ」
紗那はさらに顔を赤くし、去っていくのであった。
ありがとうございました。
次もがんばりますっ