春名:もー!
「ごめん、ちょっと出かけてくる。帰ったらメールするね?」
「はい、……気をつけて行って来て下さい」
それじゃ、と言うと電話を切る。
なんとなく、春臣の様子が少しだけ変だったような気もする。
もしかしたらさっきのおねえちゃんとの会話で、危険ワードの雑誌の話、思い出したとか──?
……後でもう一回忘れてもらおう、うん。
とりあえず、ご飯食べに出かけるのに準備しなくちゃ。
バランスを崩さないように気をつけて立ち上がると、またスマホが鳴る。
ちゃんと立ち上がってから画面を開くと、三津屋からの返信だった。
大丈夫で良かったって言ってくれて、あのあと少し葛城と話をした事を教えてくれる。
あたしが落ち着いたら、ゆっくりまたお茶でもしながら語ろうって。
ほんと、嬉しいな。
三津屋が居てくれて、良かった。
あのカラオケのときを思い出すと胸がギュッと苦しくなる。
でも、三津屋がいてくれたことを思い出して、今のメッセージを見て、凄く救われた気持ちになれる。
──あ、そうだ。
どうせならpinkydream、ウェルカムドリンクもつくって言うし、三津屋も誘おう。
好みのジャンルとは違うかもしれないけれど、お店を貸し切りで割引で……なんて、なかなかできないもんね。
丁度買い物行く約束もしてたし、喜んでくれるはず。
メッセージを送信して、お姉ちゃんに手助けしてもらいながら階段を降りる。
それから玄関に出た辺りで、三津屋から返信が来た。
"お誘いはすごーく嬉しいけど、行くなら藤田君とがおすすめ。ちなみに、あたしと彼氏の初体験の場所です"
……え?
初体験、って?
そう思って画面をもう一度見てみる──と、続けてメッセージが来た。
"pinkydream”
……?
”の”
……うん?
”505号室”
pinkydreamの505号室……
合言葉か何かかな?
”スイートルームですから♪"
スイートルーム?
お店で、スイートルームって、どういうこと?
首をかしげていると、
"あの辺りじゃ一番キレイって有名の、ラブホテルです♪"
「……ちょっとお姉ちゃんっ!!」
「うふふっ」
「春名冬香うるさいわよー! ほら、早く車乗りなさい」
「はーい……」「はーい♪」
車に乗って、慌ててメッセージ画面をを開く。
春臣に、pinkydreamについては忘れてってメールしなくちゃ。
三津屋にも、……って、カラオケのとき言ってたのは──そういうことで、……あーもうっ、もうっ……頭いっぱいでわかんなくなってきた……!
「もうっ!」「だから勉強は必要よって言ったじゃない」
「だけどっ……! でもっ、……お姉ちゃんのバカ!」「バカっていう方がバカってよく言うでしょー?」
「春名冬香うるさい!」
……もー!
悔しいからお姉ちゃんのデザートは絶対横取りしてやるんだからねっ!




