春名:行ってみるの、いいかも
今のお姉ちゃんとの会話を思い出す。
やばい事は──
……多分、ある。
大人のエッチテクとかそんなのいらないっ! って、自分の言葉を思い出してめまいがしてきた……
「……忘れてっ!」
「わかりました」
「……忘れた?」
「今、徐々に忘れている所です」
きっとまたあの穏やかな顔でそう言ってるんだろうな、って思って、安心する。
やっぱり、春臣が好き。
いろいろあったけれど、本当に良かった──と思ったところで、さっきお姉ちゃんが投げていったカードが目に付いた。
──これ、何だろう。
表面は薄いピンクで、ローマ字でpinkydreamって書いてある。
お店の名前かな?
「ねえ、春臣」
「はい」
「pinkydreamって知ってる?」
「いえ、聞いた事はありません」
「お姉ちゃんがさっき来て、その名前が書いてあるカードくれたんだけど、お勧めだから彼氏に聞けって言われたの」
「すみません、勉強不足でした」
「ううん、あたしも全然知らなかったから」
カードを裏返してみると、またローマ字で、住所が書いてある。
それからその下には、電話番号。
なんとなく、名前からして女の子向けなお店かなって思う。
でもどうして、それなら春臣に聞けって言うんだろう?
……もしかしたら、お姉ちゃんのことだからきっと彼氏にプレゼント買ってもらうお店?
「春名さん、電話番号とかわかりますか?」
「うん、書いてある。だけど、もしかしたらただ単にお姉ちゃんのお気に入りのお店とかかかも」
「一応、僕の方から電話をしてみます。もし春名さんが好きそうなら、ケガが良くなり次第行ってみましょう」
「ありがとう」
春臣に番号を伝えると、かけなおしますと言って電話が切れた。
お姉ちゃんの趣味のお店だったら、きっとあたしの趣味じゃないかもしれない。
でも、お姉ちゃんなりに心配してくれたんだろうし、せっかくだから春臣と行きたいな。
……そうだ、一緒に映画見られなかったかわりに、ここに行くのもいいかも。
そしたら、お姉ちゃんはこういうのが好きなタイプで、って話もできるもんね。
今日は突然の鉢合わせでびっくりしただろうし、──それに、あの様子だったらママもその内絶対、春臣のこと家に呼んでって言うと思う。
そのとき、何も知らないで家に来るより、ある程度色々知ってた方が春臣も緊張しないんじゃないかな。
……うん、そうしよう。




