春名:良かった。
「送信、完了っ」
無事に仲直りした事と、ありがとうと、ごめんねとで大分長くなったメッセージが、三津屋とのトークルームに表示される。
きっと今はまだ、彼氏といると思う。
だから、返信はいいから、後でゆっくり話そうって文末に書いた。
「ほんと、……良かった」
今日あった事を改めて思い出してみる。
色んな事があったから、凄く一日が長かった。
だけど、良かった。
ただ──
「春名、彼氏来たんだって?」
「……ママ、ノック位してよっ! ていうか、ケガした娘に大丈夫より先にそっち?」
バタンとドアを開けて入ってきたのは、ママ。
仕事が終わって、今帰ってきて──多分お姉ちゃんから春臣の事、聞いたんだろうな。
春臣に家まで送ってもらった時、丁度お姉ちゃんが帰ってきた所で、鉢合わせしちゃったんだよね。
「ああそうそう、大丈夫なんでしょ?」
「……大丈夫だけど」
「で、聞いたわよ、外国の人なんですって?」
「なんでっ!?」
藤田春臣、どう聞いても日本人でしょっ?
春臣、お姉ちゃんに自己紹介してたよね?
「玄関に入れないくらい背が高い人だって聞いたけど、どこで知り合ったの?」
「同じ学校だから! 日本人だよっ」
「あら? でもお姉ちゃんが」
「身長高いから、勘違いしたんでしょっ!」
そうかもしれないわね、なんていって納得するママ。
でも……春臣は、うちの玄関で頭ぶつけるかも。
あたしの部屋に入るときも──
「それじゃ、ご飯食べに行きながらじっくり聞かせてもらおうかしら」
「なんでっ!?」
「今日はパパがお仕事でお泊りだからよ」
せっかくだから春名の彼氏さんも呼びましょうよ、なんてママが言い出すから慌てて止めようとした途端、スマホに着信が入った。
「ママ、ほら、電話だから出ててっ」
「もうー」
「もうー、じゃなくてっ!」
画面を見ると、春臣。
春臣だってわかったらママが話したがるし、そんなの恥ずかしくて絶対嫌。
ママが部屋から出たのを見て、電話に出て──「ちょっとお姉ちゃんっ!?」
今度はノックしないままお姉ちゃんが部屋に入ってきた。
「出てってよー!」
「あらやだ、反抗期? これあげるから、頑張ってねっ」
にやにや笑いながら見せてくれるのは──雑誌。
しかもタイトルに、……
「大人のエッチテクとかそんなのいらないっ!」
「勉強は必要よー?」
「まだ早いもんっ!」
「春名ってばー、まあコレもあげるから」
そう言ってぽいっと投げられたのは──
……何だろう、これ。
首を傾げると、お勧めだから彼氏に聞いてみるといいわよーと笑いながらお姉ちゃんが出て行った。
うん、春臣に後で聞いてみよう……って、電話!!
「……春臣っ?」
「はい」
「き、聞こえて──た?」
「す、すみません。具合はどうかと思って……何度か呼びかけたのですが繋がらなくて、かけ直そうかと思っていた所です」




