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STAND BY ME!  作者: ぬこ@nuko_nuko


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3/46

春名:好きって、言ってくれたもん



 「──春臣は、あたしの事好きって言った」


 ちゃんと、好きだって言ってくれた。

 あたしだって春臣の事好きだし、問題ないもん。


***


 「やっぱり、何かあったんですか?」

 「別に、何もないけどっ?」

 「そうですか?」

 「そうよ!」

 「何かあったら、言って下さいね?」


***


 「……春臣、気にしちゃったかな」


 そう思うけど、答えられない──、ううん。答えたくない。

 別に大した事じゃないもん。

 好きだって言ってくれたし、春臣は嘘なんかつかない。

 だから、気にする必要なんてない。


 ──そう、ない。絶対、ない。……ない。

 

 「ないんだからっ!!」

 「春名うるさいわよ!」

 「……はーい」


 思い切り叫んだのとほぼ同時に、部屋の外からママの声。


 ちなみにママ、身長144センチ。

 パパは163くらい。


 ──どっちにしても、小さい。


 大学生のお姉ちゃんが居るんだけど、それも143センチ。

 やっぱり、小さい。


 牛乳毎日飲む。ストレッチをする。早めに寝る。

 「これをやれば身長が伸びる」って聞いたことは、全部やってみた。

 でも、あたしの身長はこの1年ちっとも変わらない。

 

 「せめてあと5センチあればいいのに!」

 「春名うるさいっ!」

 「……はーい」


 今度はお姉ちゃんに怒られた。

 

 「なーに言ってんの、身長が小さいって事は特技よ?」

 「勝手に入ってこないでよ」

 「いいじゃない別に」

 「良くない!」


 勝手に部屋に入ってきたあげく、人の部屋でタバコ吸い始めるお姉ちゃん。


 ちなみに名前は冬香。

 冬に生まれたから冬香で、あたしは春に生まれたから春名。



 「もー! 部屋臭くなるからタバコやめてよ!」

 「窓開ければいいじゃない」

 「自分で開けてよね!」

 

 ふー、と人の顔に向かってタバコの煙を吐きかけるお姉ちゃん。

 大げさにそれを手で仰いで、窓を開ける。


 「身長が小さいって事は、特技よ」

 「さっきも聞いた!」

 「さっきも言ったけどね」

 

 そう言いながら立ち上がると、くるっとその場で一回転して、あたしを見下ろすと、

 

 「いーい? 小さい。このミニマムボディ。これは天が与えてくれた唯一無二の魅力なのよ!」

 「……」

 「ほーら、おかげでこんなに可愛い服だって着こなせちゃう」

 「あたしの趣味そっちじゃないし」

 「世の中ロリ好き男は多いのよ! わかる? 実際のロリは犯罪! だけど二十歳越えのロリは合法!」

 「……で?」

 「つまりあたし達の時代なのよ!」

 「一緒にしないでよっ!!」


 「春名冬香うるさいわよ!」


 「……はーい」「ごめんなさーい」


 また、ママから怒られた。

 確かにお姉ちゃんは結構もてると思う。

 昔からしょっちゅう彼氏の話してるし、家に連れて来ることも多い。

 大体皆似たようなタイプだけどね。


 去年の誕生日には、8人位からプレゼントもらったみたいで、──どれもぬいぐるみ。

 しかも、全部でかいの。

 だからお姉ちゃんが抱えてると、子供がぬいぐるみにじゃれてるみたい。


 ──って、それ狙いなんだろうけど。


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