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春臣:なにがあったのでしょうか。


 

 「さてと」


 家に帰り、荷物をおろして着替えました。

 今は愛用の机の前です。

 夕飯まではまだ時間があるので、少し考えをまとめてみたいと思います。


 春名さんの様子がおかしいのは、今日始まった事じゃありません。

 たしか──そう、三日ほど前でした。

 三日前にあった事といえば、球技大会。

 うちのクラスは残念ながらあまり良い成績ではありませんでした。

 ですが、なかなか楽しく、いいイベントだったと記憶しています。

 

 「その時春名さんは──バレーだったはずですね」


 そうです。

 確かバレーに参加していました。

 二回戦までいったのを覚えています。

 僕が参加していたのはバスケットボールで、こちらも二回戦で終了でした。

 

 負けたことが悔しかったのでしょうか?


 ──確かにそれもありえます。

 ですが、春名さんはあまり後々まで引っ張る性格ではありません。

 これは原因から外していいと思います。



 クラスの誰かともめてしまったのでしょうか?


 ──これは考えにくいです。

 ここ二日様子を見ていますが、クラスの誰かと雰囲気がきまずいという事はありませんでした。

 普段から仲の良い三津屋さんと楽しそうに会話をしているのを目撃しています。



 テストの結果ではないはずです。

 今回のクラス順位では1位でした。

 体調が悪いという様子でもありませんでした。

 

 

 「……何があったんでしょうか」


 考えてみたものの、これといった理由が浮かんできません。

 他に思い当たるとすれば──僕ですね。


 「そういえば、様子が気になるのは僕と居る時のような気がします」


 呟いてみて、確かにそうだと思いました。

 休み時間はいつもなら教室で過ごすのに、三津屋さんと毎回どこかにでかけていたようです。

 僕の友達の佐川とも、普通に楽しそうに話をしていました。

 教室に居る間や、僕と離れている間の春名さんに特に変わった所は見られません。


 これは、僕と居る時だけ様子が変だという事でしょう。

 

 「嫌われてしまったのでしょうか?」


 呟いて、悲しくなります。

 もしそうだとしたら、どんなに辛いでしょう。


 ──「……あたしの事、好きよねっ?」

 「勿論ですよ」

 「な、ならいいわよっ!」──


 帰りに交わした会話を思い出しました。

 ならいいわよ、の言葉の意味はなんでしょうか。


 実は別れたいと思っていて、前もって僕に気持ちを確認したかった。

 だけど僕は春名さんを好きだと告げたので、それで困ってしまった。



 ──実に切ない回答が思い浮かびました。


 そうだったら辛いです。

 思わず気持ちが沈みそうになりましたが、堪えます。

 まだ他の可能性を考えていません。


 

 実は不安になっているとしたら?

 僕の気持ちに対して、不安にさせているとしたら?

 それが、春名さんにあの言葉を言わせたのだとしたら。


 ──非常に申し訳ない事この上ないです。

 お付き合いをしていて、その相手の気持ちが信じられないというのは辛い事です。

 春名さんにそんな思いをさせてしまったのだとしたら、謝っても謝りきれません。


 ……この案も、悲しい案になってしまいました。

 

 このどちらでも無い事を、願います。

 

 

 




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