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出逢いは日常なのにあなたの存在は非日常

生まれ変わりやデジャブに憧れていた私だけど前世の旦那様は人間じゃないなんて…


出会った刹那…胸が痛んだ


忘れ去られた記憶の箱を開けられたような不思議な感覚


その声もその肌も


何百年も昔から知っている


そんな感覚


満員電車でぐらついた私を受け止めてくれたあの日から覚醒がはじまった



ガタンゴトン ガタンゴトン 


参ったな…よりにもよってこんな満員電車に乗っちゃうなんて


うう…つり革に手が届かない 後ろから押されるとバランスが…やば…


どうしょう このままじゃ ま、前につんのめる~!


「 危ない! 」


「 大丈夫…ですか…? 」


前の席に座っていた黒髪のショートワンレンのスーツ姿の男性は後ろから押されて前のめりにつんのめった私を咄嗟に抱きとめてくれた


「ごっ、ごめんなさいっ」


立ち上がろうにもぎゅうぎゅう詰めで動けない


焦って半べその私を見て男性は優しく微笑むと


「 大丈夫ですよ 新宿まで膝の上に載っていて 」


ええええええ~!!! そんなの申し訳ないし 恥ずかしいんですけどおおおぉぉぉ…


周りにクスクス笑われながら彼の膝の上で俯いた私は一刻も早く小田急線が終点に着くのを願った


「新宿~新宿~終点です」


乗客が降りていきやっと動けるようになると私は男性の膝から降りてひたすら頭を下げて何度も謝った


「 すみません、すみません、ご迷惑おかけして…重かったですね。本当にごめんなさい 」


必死に謝る私に彼はキョトン


「 あっはは…そんなに謝らないで ぜんぜん重くなかったから 」


笑い飛ばしてくれて少し気が軽くなる


「 これから誰かと待ち合わせですか? 」


へ…?


唐突に想定外の質問をされ固まる


「 いえ、あのっ…紀伊國屋ビルの柳花堂に行くだけです 」


「 柳花堂? 」


「 は…あ…宝塚の男役さんのブロマイド買いに… 」


言った後で思わず赤面


バカバカ、私のバカ、なに真っ正直に応えてんのよっ


「 宝塚か…母が好きで子供の頃に付き合わされて日比谷に行ったな 」


「 えー、東京宝塚劇場に? 」


「うん、たしか…雪組公演のベルサイユのばらだっけな…」


ドン引かれるかと思いきや これ又意外な反応にびっくり…


にっこりと微笑む彼をまじまじ見ると…前髪ハラリの面長でスラリとした長身


悪魔チックな据わった眼差しが魅力的なまさにストライクゾーン…じゃなくて…


どこかで会ったっけ…私…この顔 知ってるような…長い指もほんのり香る甘い匂いも


…どこか懐かしいような…あれれ、何考えてるんだ…私ってば…


謎のノスタルジーに戸惑っていると


「 こんなこと言ったら失礼ですけど… 」


じいぃぃぃぃ…


なになに??

いきなり穴の空くほど顔をガン見されまたまた固まる私


「 きみを知ってるような気がして…おかしなこといってすみません…どこかで会ったこと…ありましたっけ? 」


「 いいえ、あの、私も同じこと思ってました… 」


…… 沈黙のあと 互いに顔を見合わせ吹き出しながら私達は駅ビルのカフェに入った


――――――――


「 いらっしゃいませ 」


向かい合って席にすわりメニューを見ながら


ココア飲みたいな…パフェも食べたいし…あ、ツナメルトも美味しそう♪


う~ん…どれにしようか


「 すみません、彼女にココアとバナナチョコレートパフェとツナメルトを 僕はブレンドで… 」


え、え、なになに~! 何で食べたいものわかったの? てかお金そんなに持ってきてないし~


「 誘ったのは僕だからご馳走しますよ 」


ノーブルに微笑まれうっとり…


ああ、この優しい笑顔 好きだったのよね…危険な香りのする据わった眼差しも変わらない


あれ? 私、な、なに言ってんの~私、なんか…へん


心の中で自問自答してるとバナナチョコパフェがきた


大きなミルクソフトにチョコクッキーがトッピングされチョコレートソースが美しくかかり大好きなバナナがいっぱい刺さってるぅ

そしてソフトの下にはココア生地のスポンジとアイスとミルクチョコのゼリーが可愛くコロコロ入ってなんて美味しそうなの…


「 まずはパフェから召し上がれ 」


どうして私が食べたい順番まで知ってるの?

だが美味しそうなパフェを前に食欲が勝り思わずスプーンでソフトを掬ってパクリ


あ…こ、これは!!! なんて私好みの味なの!!!

こんな美味しいチョコパ食べたことない…

ミルキーなソフト…ほんのり苦味のあるダークチョコのソースが絶妙なバランスでもはや…神…


「 お気に召されましたか? お姫様 」


「 はい! ものすこく美味しい! これは理想のパフェですっ 」

「 私、チョコパフェが好きでいろんなパーラーで食べたけどこんなに素晴らしいのは初めてです 」


「 それはよかった…チョコ好きにはなかなかでしょ 」


え…何で? 私、チョコが好きなんて言ったっけ…

う~ん、でも美味しい~

あまりの芸術的美味しさに5分で完食するとタイミングよくココアとツナメルトがテーブルに運ばれた


きゃ♪ 薔薇の花に絞られたクレームシャンテが美し過ぎる♪ 


あ…ホイップのくちどけ…一瞬にしてとける天使の羽根みたい(食べたことないけど)


さて ココアの味は…ズズ…濃厚でお・い・し・い!!!!!

甘さも丁度いい~

冷たいモノのあとのココアってどうしてこんなに美味しいの


ひゃ~お皿に盛られたツナメルトも美味しそう~

ひと口パクリ…モグモグモグ…


あああああ!!  大好きなケッパーがいっぱい入って美味し過ぎる…


あまりの美味しさ彼がいるのも忘れてあっという間にココアとツナメルトをペロリ


「 いい顔するね 」


はっ!  気付けば目の前に頬杖をついて優しい瞳で見つめる彼……なんて優しい表情をするの


これよ この表情が好きすぎて誰のことも気に入らなかった…ってあれ?


またまた変なこと思ってる…そうだ、名前聞いてなかったっけ


「 樹莉(じゅり) 」


そっか…変わった名前…って え、え?? え??


「 ああ、ごめん 聞こえたから… 」


な、な、なんなのよおおおお~ おかしいでしょ それ、おかしいでしょう!!!


「 霊感が強くてね…昔から相手の考えていることがわかるんだ 」


「 …すごいですね… 」


「 で…きみの名前は? 」


「 ひろみです 」


ほんとは明子だけど…霊感強いなら当ててみて


「 そう…なら あーちゃんって呼んでいいかな? ひろみって言ってる明子さん 」


すごっ!! 本物のエスパーだ…


あ、でも エスパーっていうより耽美でヴァンパイアか悪魔みたい



くっくっくっく…


「 それはどうも…好きだもんな…Vampire… 」


愉快そうに笑ってる でも ぜんぜんイヤな感じがしない


バカにされてる気もしない


なんていうか…言い方に愛情がある…でもどうして私がヴァンパイア好きなの知ってるの?


スッ… 樹莉の長く美しい指が優雅にのびると優しく私の左頬を撫でる


ナデナデ…


気持ちいい…これ…好き


ナデナデ…


暫し瞳を閉じて夢心地…


って…な、なにやってんのよ…初対面の男の人に頬撫でられて猫みたいにゴロゴロするな! 私!

でも…気持ち…いい


「 相変わらず猫みたいだな 甘えたい時にゴロゴロして…好きなことやってる時は知らんぷり… 」


どうして…そんなに知ってるの…そんなに理解しているの…


「 さて…引き留めてごめんね…そろそろ行こうか… 」


スッと立ち上がり会計を済ませると彼は握手を求めてきた


「 楽しかったよ ありがとう 」


コツコツコツ……広い背中…長い足…


去り行く後ろ姿をぼぉーっと眺めながら


「 あー!! あんなにご馳走になったのにお礼言い忘れた!! 連絡先も聞いてないよ… 」


何だったんだろう…


不思議な出来事に柳花堂に行く気が失せた私は小田急線に乗り放心していると携帯がピロピローン♪


ん? メール?


※※※※※※※※※


さっきはありがとう


今度はミュージカルでも如何かな?


「スネイプ侯爵の恋」きみの好きなVampire伝説だよ


席は前から5列目のセンター


今週の金曜日 16時にT劇場の前で…



樹莉


※※※※※※※※※


ちょ…いつのまに人の携帯に登録したの???


この人…いったい…


でも「スネイプ侯爵の恋」観たかったんだよね

チケットとれないし高くて諦めてたから……


前から5列目のドセン…


よし! 行こう!!!


何 着て行こうかな~


帰宅する頃には一切の疑問は消え失せ 私の心は金曜日へと向かっていた


to be continued



――――――――















突然にひらめいて綴りました

読んで下さってありがとうございます


明子の運命はどうなっていくのでしょうか…

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