第1章 異世界への扉
第一章: 異世界への扉
2008年 福岡県某所 雲ひとつない晴れ渡った日のことだった。
ケンジは14歳の少年。学校の勉強は苦手だが、友達とサッカーをするのが大好きだ。学校が終わり、友達と別れて家に帰る途中、ケンジは奇妙なことに気付いた。いつも通る道の先に見慣れない扉が現れていたのだ。
「こんなところに扉なんてあったかな?」
ケンジは不思議に思いながらも、その扉に近づいていった。扉は古びた木製で、装飾が施されており、まるでどこかの古城から切り取られたかのようだった。好奇心が勝ち、ケンジは扉のノブに手を伸ばした。
その瞬間、扉が一人でに開き、中から眩い光が溢れ出した。ケンジは驚いて後ずさりしようとしたが、光に引き込まれるように吸い込まれていった。
目を覚ますと、ケンジは見知らぬ場所にいた。青い空に浮かぶ異形の建物や、遠くに見える巨大な城、そしてまるで絵本の中にいるような風景が広がっていた。
「ここは一体どこなんだ?」
ケンジが周りを見回していると、突然背後から声が聞こえた。
「新しい子が来たようだな。」
振り返ると、黒いローブをまとった男が立っていた。彼の顔は陰に隠れ、目だけが怪しく光っていた。
「君の名前は?」
「…ケンジです。ここはどこなんですか?」
「ここは選ばれた者たちの世界。君はここで特別な訓練を受けることになる。」
「訓練?どういうことですか?」
男はケンジの質問には答えず、彼を連れて行くように指示を出した。すると、他のローブをまとった者たちが現れ、ケンジを囲むようにして歩き始めた。
ケンジは抵抗しようとしたが、彼らの力に圧倒され、ただ従うしかなかった。しばらく歩くと、大きな広場にたどり着いた。そこには同じように不安そうな顔をした子供たちが集まっていた。
「皆、よく聞け!これから君たちは厳しい訓練を受け、選ばれし後継者となるための試練を受けることになる。逃げることは許されない。捕まれば、残酷な運命が待っている。」
男の言葉に、広場にいる子供たちの表情が一層緊張に包まれた。ケンジもまた、これから何が待ち受けているのかという恐怖と不安で胸がいっぱいになった。
その時、ケンジは隣に立っていた少女と目が合った。彼女もまた不安そうな顔をしていたが、その瞳には強い決意が宿っていた。ケンジは心の中で誓った。何があっても、ここで生き延びて、元の世界に戻るんだと。
こうして、ケンジの過酷な試練の日々が始まった。彼はまだ、自分の中に秘められた能力や、待ち受ける運命について何も知らなかった。しかし、その運命が彼をどこへ導くのか、彼自身の力で切り開いていくしかなかった。