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AZURE  作者: Knight Circle
9/21

#:7

「よし、着いたな」

「じゃあ、ここからは単独行動で行きましょう」

「分かったぜ」

・・・あいつらはどこかに行った。俺は、ビル街のほうへ向かった。だが、行こうとすると・・・『昔の職場』が目に入った。

「・・・ここはまだあったか・・・」

あって当然だ。東京ではトップを争う銀行だからな。そう簡単に破綻するはずはあるまい。

「・・・俺のマンションは・・・」

妹と二人暮しだった。・・・もうあいつも嫁に出た。

俺がいない今、もう売り払われているはずだ。・・・そう思い、俺はマンションへ向かった。


部屋には・・・まだ、ネームプレートがついていた。

「変だな・・・」

ドアノブをひねると、開いた。

「だ、誰ですかッ!?」

と、女性の声がした。だが、彼女は俺の姿を見ると、・・・安心したというか、・・・泣き出した。

「おにぃちゃああぁああんッ!!」

「・・・引っ付くなよ」

「ひっく・・・だってぇ・・・」

こいつが俺の妹だ。極度のブラコン。まぁ昔から、俺と二人暮しだったからな。

・・・俺と妹は、孤児院で育った。親は、俺が3歳のときに生まれたばかりの妹を残して、消えた。

そして、俺が18歳、妹が15歳のとき、俺は妹を連れてそこを出た。・・・あまり居心地がよくなかったからだが、出て行くとなると少しむなしくなった。

俺は、妹を養っていくために、寝る間を惜しんで猛勉強した。そして、あの銀行に勤めた。

・・・だが、妹に好きな人・・・将来を誓いあいたい人ができたと聞き、・・・哀しかった。

・・・妹を護るのは終わりだと思うと・・・心が苦しくなり、俺は、飛び出した。

俺は忌むべき力を持っていたのに、その目的のために生まれて来させられた。妹を護るためだけに、これまで生きてきたのに、その役目が終わってしまった。

・・・だから、俺は・・・終わらせようと思った。全部、・・・投げ出そうと思った。そして、俺はマンションの屋上へ行き、柵を乗り越え・・・頭から、落ちていった・・・。

え? 何で生きてるかって? だからよ、『生かされた』って言ってただろ? これで理解したか?

「ところで・・・そのガキは何だ? ・・・もう、生まれたのか?」

「そんなんじゃないって。降ってきたのよ」

「・・・降ってきたァ?」


「・・・あれ? おい、三千重、この男は誰だ?」

「忘れちゃったの? お兄ちゃんよ」

「・・・む、むむぅ・・・・・・あ、思い出した。龍醐さんだっけ?」

「そうだ。おいおい、兄貴のこと忘れちまったのかよ?」

「それはあんたが勝手に言っただけだ」

「あ、兄貴に向かってあんたは何だ!」

「落ち着いて、お兄ちゃん・・・」

・・・で、その降ってきた少年について話を聞いた。・・・嘘っぽい。

「・・・嘘じゃねぇのか?」

「姉御も言ってたぜ。でも本当のことなんだ」

少し顔をしかめて、俺は方舟(アーク)と名乗る少年の頭をこつんと叩いた。

「お前、本当の事言ってんのか?」

「ほ、ほんとだよ・・・」

「まぁまぁ、落ち着いて」

「ところでお兄ちゃん、何してたのよ?」

「それはだな。えぇと・・・世界の平和を守るために―――」

「冗談はよしてください。まじで怒りますよ」

「ほ、本当なんだぜ? 確か、標的はこの日本だ」

目を覗き込む。そんなんで真実が見抜けたらこいつは神だ。

「・・・謎の場所にいた・・・か」

「でぇッ!!?」

こ、こいつ・・・本当に見抜きやがった!!

「・・・なんて冗談ですよね」

・・・ゑ? いま・・・揺すったのか?

「あなたの想像通り、俺にはそんな能力はありませんよーだ」

「こ、こいつ、はめやがったなッ!! 三千重! こんな奴とは離婚しろッ!!」

「な、何よ!?」

「・・・まぁ、いまので本当の事だってことは分かりました。こうでもしないと分からないですし」

「それを言ってからやれよ!?」「言ったら揺すった事になりませんよ?」

「二人とも落ち着いて!」

・・・で、三千重が俺と奴に張り手をかまし、何とか口喧嘩は終わった。

「・・・すまねぇ・・・」

「あぁ・・・こっちこそ・・・」

「・・・まぁ、信じますよ、龍醐さんの事。三千重の兄さんですし」

「なんで三千重の兄さんだから信じるんだ?」

「・・・三千重がバカ正直だからですよ。『バ・カ』」

つい、吹き出してしまい、・・・そのまま大笑いしてしまった。・・・三千重が怒る。

「お兄ちゃんッ!!」

「はっはっはっはッ!!」

「・・・まぁ、いっか・・・」

そう茂がつぶやくのを聞き、・・・俺は本当にバカだと言う事が分かった。・・・俺のバカが。


「・・・壊す? 日本を? ・・・やっぱり・・・あれは、本当だったのか」

「あれって何よ?」

「昨日、首相官邸を今日の3時に襲撃すると門の張り紙に書かれていた」

「その張り紙はどうした?」

「三千重が遠くへ投げ捨てた」

「えぇ!? 知らなかったから仕方ないじゃないの!!」

「まぁいい」

そう言うと俺は立った。

「・・・何を言っても無駄だ」

「・・・だな・・・」

三千重がいきり立つ。

「何言ってんのよ、早く知らせに行かないと・・・」

「三千重。時計を見てみろよ」

「え・・・?」

・・・・・・3時12分ちょうど。・・・そう、何を言っても、もう・・・遅い。



To be continued...

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