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AZURE  作者: Knight Circle
8/21

#:6

ここはどこかは分からないが。だが、ここで起きたことは全て真実だ。

ここに俺はいなかった。ここにいる奴らとは関係するとは思えなかった。

・・・だが、実際俺たちの物語に絡んできた。だから、物語の一部だと思ってくれて構わない。

大丈夫、ここで何が起きても今の俺とは関係ない。だって、まだ俺たちはこいつらを知らなかった。

・・・それでも、こいつらの一部が俺たちのことを、知っているのかもしれない・・・。


『俺』は、起き上がった。背中がズキズキする。だが、初めて寝たときに比べればマシなほうだ。

・・・『ここ』に来て何年になるだろう。幾重の時を過ごしただろう。ここには時計も暦もない。だから、そんなことを知る方法なんてない。・・・俺は『あのお方』のおかげで生かされた。

・・・だから、時間なんてもの、故郷なんてもの、過去なんてものは、捨てた。

・・・でも、何かを『オモウ心』は・・・結局捨てられなかった。

だから、この世界にまだ『オモシロイ』ものがあるから、心躍る。

・・・あのお方のためなら、世界でも壊せる。いや、・・・壊してやる、絶対に。

俺は重い戸を押し開ける。・・・そして、廊下を通り、広間の椅子に座った。

「邪魔だ」

・・・座った瞬間にそう言われ、・・・ビクっとした。

「・・・あんたか」

「あんただと・・・? どこの口だ、そんなこと言えんのは」

あぁ、おっかない。そのうち首を絞められるな・・・。

「はいはい、分かりましたよ、イーラさん」

・・・イーラ。いつもイライラしているからではない。

「・・・ちッ・・・」

そのままどこかへ行ってしまった。

「どうしましたか?」

おっと、背後からいきなり話しかけてくるとは不覚だった。

「アヴァリティアさん・・・はぁ、びっくりしましたよ。背後からはやめてくださいよ」

「分かってます。・・・で、・・・どうでした? イヴガーデンは」

「ああ、いいところだったな。とてもいいところだったから・・・『壊した』」

薄くアヴァリティアさんが笑う。その笑いは喜びか、蔑みか。

「・・・で、次のターゲットはどこだ?」

「・・・日本、です」

・・・日本。・・・未練など俺にはない。あんな国の一つや二つ、すぐにぶっ壊してやる。

「で、出発メンバーは?」

「ワタシとインヴィディア、そしてイーラ」

「・・・ちッ、俺は留守番かよ」

「せいぜいルクスリアと談笑でもしてなさい」

・・・あいつのことは嫌いだ。

「では、行ってまいります」

「どうぞ、お気をつけてー」

そして、俺は椅子の背にもたれ、ため息をついた。


・・・『俺』は陣を観察していた。どうも作動しない。

「どうしたんだ、イーラ」

「・・・インヴィディアか・・・」

・・・と、欠けているところを見つけ、修正する。

「またいかれたのか?」

「ああ、むしゃくしゃするな、畜生・・・」

「そうカッカするなよ・・・」

そこまで怒っているつもりはないが・・・。

「・・・お、直ったぞ」

「そろそろ出来ましたか」

「すまねぇな、アヴァリティアの旦那」

「・・・その呼び方やめてもらえますか」

「やなこった」

「・・・じゃあ、行くとするか」

・・・俺の名はイーラ。正直名乗っていると虫唾が走る名前だ。本名は辰星(たつぼし) 龍醐(りょうご)。多分23歳。・・・妹が1人。しばらく会っていない。・・・いや、『会えない』が正しいか。彼女は、恐らく俺のことを忘れているに違いないだろうが・・・。

「どうした、早く行かないのか?」

「・・・ちょっと待っててくれないか?」

「手短にお願いしますよ」

「早くしろよー」

「わぁったての」

久しぶりに日本に帰れると聞いて小躍りしてしまいそうになる。だが、こいつらの前では・・・。

「まだかぁ?」

「あ、ああ。準備万端だ」

「よっしゃ、レッツゴーッ!!」

「乗りすぎだ、馬鹿野郎」

・・・あいつらの前では仲間面しているが、別に仲間ではない。何で世界を壊す必要があるんだ? 狂っている。・・・俺は壊す気になれない。というより、防ごうとしているというべきだろう。俺はこいつらを・・・。

・・・だからといって簡単に倒せるはずがあるとは思えない。まずアヴァリティア。一見どこかの貴族の一人に見える。もてそうなオーラが出ているが、・・・正体は恐ろしい魔物とも呼べる『何か』。初めて見たときは吐き気を抑えることに必死だった。戦闘能力は俺が力を発揮しても太刀打ちできないほどだろう。

次にインヴィディア。戦闘能力は未知数。タッグで行動するのはこれが初めてだ。だからこそ油断できない。

・・・まだ他に4体いる。そして、最後に・・・あいつらが『あのお方』と崇め敬う『存在X』。自分は声しか聞いたことがない。だが、・・・無謀に戦いを挑むことは・・・。

「もうすぐ着くぞ」

「わかってるぜ」

「・・・イーラもここに来てだいぶ経ったな」

「・・・あぁ」

「・・・これからも頑張れよな?」

「・・・」

・・・肯定できないで哀しい。だが、肯定できない質問を出すあいつが・・・『憎イ』。

・・・俺はだいたい2年前『あっち』の世界に跳んだ。当時は訳が分からなかった。だが、あいつらの勘違いがきっかけで、俺はあいつらとともに行動することになった。

ただ、いつか戻ったときのために、一日たつごとに壁に傷を小さく入れていった。それが、多々今確かめたときは、746個だった。だからだいたい2年。だいぶ変わってるだろうな。

・・・俺は最初は積極的に、この運命を楽しもうとした。・・・無論、滅ぼすたびに切なくなった。

だから、俺はこいつらを止める。・・・今になって俺に『忌むべき力』が宿された訳が分かった。

・・・それが、俺の宿命なのだろう。・・・そして、俺は初めてその時、・・・神を讃えた。



To be continued...

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