Epilogue
・・・家は今修理してもらっている。某番組の企画らしいが、ほんとに低予算で助かる。なんだったけな? びふぉ・・・忘れた。刑事ドラマとバラエティはよく見るが、その番組は知らない。
で、今俺がどこにいるかというと・・・。
「久々に帰ってきたと思ったらびっくりしたわぁ?」
実家に厄介になっている。やっぱりでかいな。・・・今は8月のアタマ。ほとんど夏休みだ。そして来月はついに方舟も学校へ行くことになる。・・・だいぶ緊張しているみたいだ。
・・・俺たちは気にしていないが、方舟のその身体的特徴をいじめられないか心配だ。あ。・・・それで確か三千重に親バカって言われたんだっけ。あぁそうさ、俺はきっと親バカだ。
・・・それと、俺は昨日、ついに『Teenagers』を卒業した。俺はテレビ関係に出るつもりだ。俳優・芳養房茂。・・・何かちょっと響きがいい感じがする。
「そうでもないような気がするよ?」
方舟にいわれ、少し腹が立ったので頭をコツンとたたく。
「あいたッ」
ちょっと彼も口数が増えた。俺の心が通じた? いや、・・・きっとまだ足りない。まだ彼の心は乾いているだろう。俺は完全に彼の心を潤してあげることはできない。でも、三千重と一緒なら、きっとできるはずだ。
「・・・よし、久しぶりに海にでも行くか?」
「やったぁ☆ 折角だからみんな誘ったら?」
「そうだな。ほら、方舟も準備しろよ?」
「うん、分かった」
そして俺は電話を取り出す。
・・・「カラッと晴れてるなぁ・・・おい、せっかく海に来たんだしよ、泳ごうぜッ!!」
篤史の一言で俺たちは海にダイブ。三千重や姉御はビーチパラソルの下でくつろいでいる。
「おいおい、なんか俺たちだけ浮いてないか?」
「そりゃ海だから浮くに決まってるだろ?」
無論冗談だ。辺りの視線が俺たちに釘付けだ。
「おい篤史、頭上注意」
「むッ! いってーッ!!」
頭にボールが当たった。
「おいおい、誰だよぶつけたの?」
「すみませーん・・・って?!」
キャーキャー!! ・・・いつの間にか篤史はハーレム状態。あーあ、ついてるのか、それとも・・・。
「・・・そういやぁ昨日、ドナーが見つかったらしいな。よかったじゃねぇかよ」
「・・・これで光兄ぃも一安心、って感じだったぜ」
と、方舟が怪しい男に絡まれている。
「わ、・・・ご、ごめんなさ・・・ひッ・・・」
「あぁん? 保護者はどこにいるのかって聞いてるんだよ?」
「ほらほら、俺、腕が折れちゃったー。どうしてくれんだよッ! 保護者はどこだッ?!!」
「ここにいるぜ。・・・腕か。ちょっと見せてくれないか?」
腕を掴み、逆に回す。
「いでででででッ、お、折れるッ!!」
「もう折れてるんだろ? それとも、反対か?」
「ぎゃ、ぎゃぁッ・・・!! ち、違います違いますほんとごめんなさいぃッ!!」
「野郎ッ・・・!」
まっすぐ俺に殴りかかる。・・・俺はケンカ慣れしているわけじゃないが。
「しばらく寝てろッ!」
足を引っ掛け、膝を軽く、甘く入れる。
「ぐはぁッ・・・・・・」
・・・これで全員。といっても二人だが。
「・・・ほら、行くぜ。・・・気をつけろよ」
・・・昼飯。
「ほら、今日は私ががんばって作ってきたのよ!」
おい、ちょっと待て。
「姉御が、作ったのか?」
「うん。全部食べないと、ちょっと痛いことになるかもしれないわよ?」
全部食べるだけで十分腹が痛くなる。今のうちに遺書でも書いておかないとまずいかもしれない。
そして、弁当のふたをあける。
「おいおい、ちょっと、いや、だいぶ多いような・・・?」
「えへへ、・・・がんばっちゃったしさ。とりあえずがんばって食べましょう」
ああ、天の神様よ、いや、竜でも悪魔でも何でもいいッ! 俺を助けてくれッ!!
「え、私も作ってきたよ? ・・・あ、でも私と茂と方舟くんの分だけだった」
「は?」
完全に命拾い。
「つーわけで、蒼真、篤史。・・・がんばって食えよ」
「見捨てるなぁッ!!」
・・・その日、二つの断末魔の叫びがビーチに響き渡った。そしてそれはいつものことである。
「・・・バス、遅くないか?」
「あぁ。確か5分前には来ているはずなんだがな・・・」
と、バスが見えた。
「あ、来たみたいよ」
そのバスはまっすぐ。バス停へと・・・『突っ込んだ』。
それはとてもとても運が悪いことに、俺を撥ねた。飛ぶことには慣れているはずだった。だが、この生身の体で飛んだことは、一度もなく。その景色は愛おしくさえ感じられた。
なぜ? 俺はバスに思いっきり撥ねられた。なのになぜ、そんな感情を抱く?そうだ。俺は、空が好きなんだ。分かる。三千重や方舟、彼らの次に、好きなんだ。だが、人は空では生きられない。そして俺は、地でなければ、生きることも死ぬことも、許されない。
走馬灯。・・・見えるはずもなく、俺には痛いほどの地面の抱擁を、体中に味わった。そして、目の前が一瞬暗転し、・・・何も見えなくなったとき、確かに彼女の声が聞こえた。
物心がついたときには19歳になっていた。
・・・それだけ?
物心がついたときには雑誌の写真ページに飾られていた。
・・・他には?
物心がついたときには一軒家を建てていた。
・・・まだあるでしょう?
物心がついたときには好きな人が出来て、結婚していた。
・・・あとは?
・・・物心がつく前からあったことがあるでしょう?
・・・さぁ、私は知っている。言って御覧なさい。
あぁそうさ。俺は物心がつく前から、竜だった。
・・・そう。私はそれが聞きたかっただけ。
で、お前は誰だよ? 俺はお前なんか知らない。
・・・でも、私は知ってるの。あなたがあなたになる前からずっと。
俺は知らない。だから、お前なんかに興味はない。お前は何だ? 死神か?
・・・死神・・・? くすす、そうかもしれない。確かに、私はあなたの死を望んでいる。
・・・だって、来世では絶対に結ばれるんだから。そう。絶対に、あなたが私を忘れない限り。
俺は輪廻転生なんか信じないぜ。だから、それはただのお前の妄想だ。ほら、顔を見せろよ。
・・・くすす、・・・あなたは現世で私には会えない。もし、会えたなら・・・それは・・・。
「・・・先生、・・・茂は?」
「・・・内臓や脳に損傷はありません。ただの骨折ですね」
「んなの分かってるっての・・・いたたたッ」
俺は吊られた足の引きつったような痛みに顔を歪める。
それにしても災難だった。骨折するぐらいなら、わざわざガソリン代ケチらずに車に乗ればよかった。
「まぁ、打ち所がよくてよかったじゃないの」
「よかねぇよッ! あだだだだッ!!」
ほら、動かさない、と先生が言う。俺はため息をつくしかなかった。
この夏は、これ以上楽しめそうになかった。めでたしめでたし。めでたくないがな。
AZURE⇒SCARLET
Dear 読者の皆様
ゴールデンウィークも終了! そんでもってこれでAZUREは終わります。
といってもまだ第一部が終わったようなものです。
第二部はあまり活躍しなかった篤史こと、盛邦 篤史にスポットが当たります。
タイトルは・・・ラストのあれを見ればよく分かるでしょうね。
さてさて、今回はキャラの名前の由来について説明しますね。
由来っていっても何でそんな名前にしたのかって意味ですよ。
まず主人公こと茂。構成段階では重い流れで『重流』だったんですけど、
そりゃ当て字だろッ?! ってわけで漢字一文字で茂。シンプルすぎましたね(苦)
それと苗字も速いに房で『はやふさ』。その前は同じ『速房』でも『はやぶさ』。
なんか苗字だけで二転三転してますね。名前じゃなくて苗字なのに・・・。
次に弟の蒼真。もともと蒼真は茂の父親の名前の予定だったけど、・・・元の名前がひどすぎたので拝借させていただきました。ごめんね、お父さん。
亜麻弥は昔は海女弥だったんですよ。でも設定上の名前の由来が沸かなかったから亜麻という方向へ。
篤史やら光の名前は・・・友人S・MとR・Mから拝借。だいぶ変わってるみたいですけど(笑)
目白黒さん(自分でも目白か目黒か分からない)はもう探偵的なイメージで適当にチョイス。
あ、そうだ。三千重は・・・正直に言いましょう。・・・ありませんッ!!
でもだいぶ前まで『さちこ』でした。漢字は幸せに、なぜか分からないですけど、
・・・武士の武。どうやってこれを『こ』と読む?
龍醐も同様にないです。考えて適当につけた、それで十分です。
さて、これで恐らく全員です。第二部、待っててくださいね。
See you soon...
From Knight Circle




