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AZURE  作者: Knight Circle
17/21

#:15

「・・・目黒さんッ!!」

「目白ですよ、間違えないで下さい」

別にどうだっていいだろッ?!

ん? 三千重が耳打ちした。

「(方舟のこと、伝えるべきかな?)」

正直、伝えたい。だが、警察が信じてくれるかどうかは別だ。石頭ってイメージが強いしなぁ・・・。それに、この一件に関わってしまったことが原因で、口封じでもされたら危ないしな。

「・・・お宅のお子さんに何かあったんですか?」

な――――――ッ?!

「・・・そんな感じですよね?」

「・・・そんなはず、・・・ないぜ」

・・・冗談で言ったのか? それとも・・・。

「茂ッ! はやく急ごッ!!」

「―――」

「茂ッ!!」

「!! ・・・あ、あぁ。すぐ行くぜ」

・・・ふと、違和感を感じたが気にしている暇は無い。

俺は軽く目黒さんに会釈をすると、走って三千重と一緒に家へと向かった。


「・・・・・・くっくっく・・・」

目白は笑うと、顔に手を当てた。そして、その皮を剥ぎ取る。

「こんなにあっさり騙されてくれるとは、少々意外ですね。いや、遺憾と申すべきでしょうか?」

そう、奴の単純さには少し期待はずれという感じがする。本当に残念だ。

「少しは足止めになったでしょう。・・・では、頼みましたよ。・・・インヴィディア」

マスターがどういう意図であの坊主を(さら)おうとしているのかは分からない。だが、私はあのお方のために生まれてきた。そう、あのお方こそ、私の神ッ!! だから、私はあのお方のためならば火の中水の中だ。そう、あのお方がそれで幸せならば。


「・・・っと。あっさり着いちまったぜ」

インヴィディアは、目の前にある家を見てそう呟いた。

「あてててて・・・ッ」

殴られた後頭部が痛い。あいつ、次あったらボッコボコに・・・。

・・・通行人が俺を見て指を刺したりしている。そりゃ家の前でずっと突っ立ってるからだろうな。

「こら、撮影の邪魔だ。どいてくれないか?」

カメラを持った人の横の男がそう声をかける。

「は? なんでカメラなんだ??」

「スクープに決まってるだろう? 芳養房 茂の子供に迫るッ!!」

ちッ、忍び込んで誘拐する手筈だったんだが・・・。

「おいこら、待たんかい」

一瞬寒気がした。

・・・振り向いた見れば、そいつは・・・ッ?!

「て、テメーッ?!」

・・・芳養房、蒼真・・・ッ!

「うおっと、やっと親が帰ってきましたか。茂さん、一言どうぞッ!!」

「は? 俺は弟の方だぜ」

「およよ、茂さんじゃない・・・?」

「あぁ。俺は芳養房 蒼真。戦隊アニメの『赤(主役)』だ」

「あ、あの人かッ!! うちの息子が貴方のファンで、あッ、できればサインを」

「子供はそんなもの喜ばねぇよ」

完全に俺の事を無視している。というか近所の子供たちが集まってる。なんだなんだ?

「すっげーッ!! あのセリフ言ってくれよー!!」

「ちょ、ここであのセリフはなぁ・・・」

「ずるいー! オレが先だよーッ!!」

「な、何か違う気がしますけど茂さんの弟も人気者のようです」

「て、・・・てめぇらぁッ! 俺のことを無視するんじゃねえええぇえッ!!」

彼らはようやく俺の存在に気付いた。

「あぁ、今さっきのガキか。まだ帰ってなかったんだな」

「うるせぇッ! 俺のことを殴っておいて・・・」

「え、殴っただってッ?!」

よし、リポーターを仲間につけた!

「そりゃあ、縛られたからだぜ」

「し、縛られたぁッ?!」

まずい、カメラマンまで奴は味方にッ?!

「正義の味方を縛ったりしたらいけないんだぞッ!!」

「「そーだそーだッ!!」」

げ、子供たちまでッ!!?

「お、俺・・・なんだこりゃ。悪の組織の敵みたいじゃねぇか」

「残念だったな。一昨日きやがれ、ガキンチョが」

・・・ガキンチョ? 俺が・・・?


「はぁ・・・はぁ・・・ぎ、ぎりぎり間に合ったみたいだな・・・」

「おぉッ! 本命の茂さん!!」

「あれー? どっちが本物の『ドラゴンレッド』だろ?」

[お前が赤かよ。似合わねぇなぁ・・・]

別にいいじゃねぇか。本物を見たことがある奴はいないんだからよ。そう思った時、

『・・・俺のことを、・・・どれほど放置して・・・テメェらが、憎い・・・』

「・・・君たちは帰った方がいい。さぁ、遅くならないうちに」

「はぁい・・・」

渋々子供たちは帰っていった。時間というのはただの口実で、危険から彼らを守るためだ。

「リポーターさん。危ないと思いますよ?」

三千重がそう言ったが、リポーターはきかない。

「いえ、茂さんの子供さんだけでも撮って帰らないとお偉いさんがねぇ・・・」

「命と地位、どっちが大切だ?」

この言葉に、リポーターとカメラマンは息を呑んだ。

「ちょっと弟の方ッ! それじゃ脅しみたいじゃないの!!」

「俺は本当のことを言ってるだけだぜ」

だが、・・・少し遅かったようだ。

『・・・来い、・・・【原始の蟲(ブランドゥ)】』

そして、懐から取り出した小さな笛を彼は吹いた。・・・音は聞こえない。

「・・・あのガキ・・・いや、少年がなにかをしようとしているようです」

『俺は15だ』

そう言うと、笛を吹き終えたようだ。・・・・・・遠くから音が聞こえてくる。・・・この音は・・・

「・・・ヘリ?」

何だよ、こいつヘリなんか呼んでどうするんだ?

「なにやらヘリが来ているみたいですが・・・」

「・・・わ、わぁッ?!」

いきなりカメラマンが尻餅をついた。それでもカメラは構えている。すごいなぁ・・・。

「どうしたよ? いきなりこけるなんて・・・」

「あ、ありゃヘリじゃねぇ・・・バケモノだッ!!」

一瞬心が痛んだ。それは茂も同じだろうが。

「ちょっとズームしてみろよ。・・・ッ!!」

リポーターも、目を見開いた。何が見えているのだろうか。

『さぁ、喚け、叫べ。愚かな生物どもよ』

「な、ななな何を言っているんだ、君ッ?! 君が呼んだのかッ?!!」

『答える義理などないさ』

そう言うと彼は、虚空を見て、言った。その一言一言を俺たちは聞き逃さなかった。

『・・・我が名はインヴィディア。・・・『嫉妬』の名を与えられしモノ。・・・その名において、断罪する。下等生物どもを血祭りにあげてやる。くっくっく・・・ひははははひゃっはっはっははッ!!!!』

「狂ってるッ!! どうかしているッ!!! 君も人間だろうッ?! まさか、違うというのかッ?!!」

『だから俺は、いや、俺たちはこの国を変えようとした。そしてその次に世界ッ!! これがッ! 俺たちのマスターのッ!! シナリオだッ!!!』

マスター・・・? 誰だよ、そいつは・・・?! その瞬間、真上にヘリが近づいていることに気付いた。いや、目視して初めて分かる。あれをヘリだと思った自分が馬鹿だったと。あれは、確かにバケモノだった。

『来たようだな。―――奴らをッ、喰らい尽くせッ!!!』

いきなりそいつは急降下した。ターゲットは、茂・・・のそばにいた、三千重さん。

「きゃぁッ!?」

「さ、三千重ッ!!」

茂が三千重さんをかばったが、弾き飛ばされた。

「うぐぅッ――?!」

相当痛かったようだ。

[人事じゃねぇぞッ?! 何とかしねぇとッ!!]

そして、奴は上空に上がる。再び、目標を三千重さんに定め、捕まえようとする。鎌のような腕が鈍く光るのが見えた。

「い、いやああぁぁああッ!!?」

俺は駆け出す。茂も起き上がる。だが、間に合わない。そして、奴の歪な腕が三千重さんに触れた――――――。

その次の瞬間、奴の腕が吹き飛んだ。

「えッ・・・・・・」

「・・・何かと思えばこんな事があったとはな」

「・・・・・・ッ」

「おい、三千重に傷でもつけたらただじゃおかねぇって言ったろ?」

「・・・言われた覚えが無いな、気のせいだろ? それに傷ついてないぜ、お義兄(にい)さん?」



To be continued...

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