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AZURE  作者: Knight Circle
15/21

#:13

集団というものには、必ずといっていいほど先導者がいる。

無論、その先導者を突くという兵法があることから、それが弱点になりうることもある。

先導者(リーダーって言ったらちょっとかっこ悪いだろ?)をやられたら、集団はだいたい崩壊する。

だが、自然界では、先導者がやられたら、すぐに次の先導者が全員をまとめる。

・・・これが俺たち人間にもできたらなぁ。そう思ったニュースだった。

え? 何のニュースか? ・・・辞めるんだってさ、総理。謝罪の言葉は言ってなかったけどな。

それどころか、俺たちのことを下等生物呼ばわりしやがった。なぁにがお前らとは違うだぁ?

まぁいいや。しばらくの間は少し選挙とかで周りがうるさくなるけど、・・・?


「あれ? テレビがおかしくなっちまったぜ」

「これ買ったばっかりなのに? えい、えいッ」

テレビは叩けば直るだろう、・・・いやいや、その考えは古い。もうその時代は終わったぜ。

「このッ、えいッ、このッ!!」

「おい、そんなに叩くと壊れちまうぜ?」

「私は、それほど怪力じゃッ、なああぁいッ!!」

ドスッ! ・・・バチバチッ、プスプスプス・・・。

「あ、・・・あるぇー?」

「あるぇー? ・・・じゃねえッ! 壊れちまったじゃねぇかよッ!!」

「い、いやぁ、・・・あははははは・・・?」

軽く頭を小突いてやった。

「あいたッ!」

「あれ、俺の小遣いで買ったのによぉ・・・こんな簡単に壊すなよ・・・」

「あッ、・・・ごめん」

仕方ないので修理に出そう。当分テレビは見られそうにないな・・・。見れてもワンセグだ。

「・・・それにしても、もう夏も終わるのか。早いなぁ・・・」

「そんなことないって!」

そう三千重は言ったが、いろいろなことがまとめて起こると時が速く流れてるような錯覚を感じる。

「暇だしよ、少し外へデートにでも行くか」

「え、・・・で、でで、でででのでーッ?!」

真っ赤になって頭をぶんぶんと振り回す三千重を見て、こりゃ無理だな、と内心感じた。

「僕は?」

「・・・一緒に来てくれ」

二人っきりかと思ったら、って感じで三千重がむくれる。


「ここって・・・家庭裁判所じゃないの?」

「あぁ。まだ戸籍に登録してねぇからヤベェだろ?」

「あ、・・・そうだよね。・・・じゃあ行こ」

「な、なぁに、・・・この建物・・・」

・・・「養子縁組ですか。・・・こちらのお子様のご両親は?」

「俺の親戚で―――」

もちろん嘘。だが、こうでもしないと信じてくれそうにないな。

「それで、アメリカで交通事故で二人とも亡くなられて、で、彼だけが助かったんです」

「・・・普通養子縁組ですと契約者が成年でなければなりませんが・・・」

「成年です」

19歳でよかった、昔の法律なら20じゃなきゃ駄目だったからビクビクしたぜ・・・。

「では、戸籍の方を・・・」

・・・・・・面倒な話が続く。次は市役所、あぁめんどくさい・・・。


「はぁ・・・やっと終わったぜ・・・・・・ん?」

いつの間にかマスコミに包囲されていた。

で、フラッシュの嵐をくぐり抜け、市役所を後にする。

「学校の手続きもしなきゃな。あぁ、面倒だ」

「面倒面倒って、あんまりそういうこと言わないでよね! こっちも面倒なんだからッ!」


小学校に行き、話をして、・・・入れてもらえることになった。まぁ、いじめられないか心配だが。

「あ・・・心配なんだ~」

からかわれて咄嗟にうるさいなと言った。

「やっぱ親馬鹿だね?」

「だからよぉ・・・」

・・・鋭いナイフのようなものが俺の五感を貫く。

「ッ?!」

俺は咄嗟に振り向いた。・・・夏なのにフードをかぶり、厚いコートを着た男がいる。

「どうしたのよ?」

「・・・いや、なんでもない」

・・・もう一度後ろを見ると、・・・誰もいない。そのかわり、高校生か中学生だろうか? それぐらいの少年がこけていた。

「・・・帰るか」

俺は、制服にランドセル、教科書一式と鉛筆セットを持ち、家へと帰っていった・・・。


・・・うちに電話がかかってきた。それはなにやら不穏。

「はい、芳養房です。お客様の都合により電話を受けることができません。恐れ入りますが、もう一度おかけ直し下さい」

『嘘つくなッ!!!』

篤史のようだ。

『ニュース見たぜ、ありゃなんだ?! 養子ってマジかよ、嘘だったら許さねぇぞ?!』

「ハイハイ、本当です本当ですよすごいデスネー、あ、キャッチ」

『はァッ?!』

ピ。

『・・・おい、茂。・・・あれはぁ、・・・どういことなのか? ・・・詳しく、・・・説明しなさい』

「親父、・・・男にはゆずれねぇモノがあるんだ。分かるだろ?」

『・・・あぁ。だがこれは―――』

『・・・あなたは、私の子よね。だから、・・・私と同じこと考えてたのねぇ?』

「はへ?」

『あんたのことだから困っている子を見てられずに一人や二人養子にするかなぁって思ってたのよ!』

「・・・期待通りに育っちまってすまなかったぜ、俺は本当に親孝行者だな」

ピ。

『君の決断は正しいのかな? 僕には良く分からないね。でも、信じた道を歩いていくんだよ』

「さんきゅー。・・・相談に乗ってもらったときから、どうしようかって思ってたんだ。・・・今日は電話が予想以上に多いからな、切るぜ。じゃあな」

『うん。・・・また』

ピ。

「はい?」

『・・・』

「・・・誰だ? 迷惑電話なら切るぜ」

『・・・迷惑なのは、・・・どっちだ?』

・・・声を聞けば分かる。

「・・・・・・俺がどんな迷惑をかけたってんだ? 蒼真」

『・・・・・・』

すると、電話口からため息から聞こえる。

『俺が声優、お前がモデルになってから、俺たち・・・』

「変わっちまった、・・・だろ」

『・・・ああ。悲しいぜ、ほんとによ・・・』

「昔は昔だ」

フッと笑うと、

『今は今・・・か。・・・じっちゃの言葉じゃねぇか。パクるんじゃねぇよ』

「・・・今度、いつ会えるんだ?」

『さぁな。・・・ちょっと、こっちも大変なことになってんだ』

・・・大変なこと? 別にここ最近困ったことはない。

「・・・なんだ、そりゃ?」

『・・・俺、ケータイからかけてるだろ? 家にいるわけじゃねぇんだよ』

「あぁ、・・・それでどうした?」

『・・・俺、たぶん・・・今夜・・・・・・』

と、唐突に電話が切れる。

「今夜・・・今夜、何があるんだ?」

かけなおすが、出てくれない。

突然、胸騒ぎがした。これは、双子の勘だと思うが、・・・あいつが危ないのかもしれない。そう思い、俺は三千重が呼ぶのも無視して、外へと飛び出した。

「・・・って、どこか聞いてねぇや」

・・・と、ケータイに電話がかかってきた。

「もしもし」

『・・・茂・・・だよな?』

「あぁ。どうしたんだよ・・・?」

『さっきの、続きだ』

「あぁ・・・」

少し違和感を感じる。これは、焦りか・・・? 違う、あいつの言おうとしていることが分かるからだ俺の勘が外れることを祈りながら、彼の言葉を聞く。

『俺は、今夜きっと、・・・・・・殺される・・・』

俺は、唾を飲み込み、神を少し恨んだ。



To be continued...

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