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1 寝台の少女は

肉の少ない肢体。


色の落ちた髪。


光の消えた眼。







ある貴族の館。


その一室にその少女はいた。


部屋には最低限の、少女が使用する家具しかなかった。


それは、机と椅子。


それから、ベッド。


それだけだった。


使用人と呼べるものは無かった。


それどころか、その近くに人が通ることは食事を運ぶ時のみであった。


そのベッドにたたずむ少女は、ただ空を眺めるだけだった。


少女は正真正銘の貴族の末娘だ。


少女には、母はすでにいなかったが、父と姉はいた。


その暮らしぶりは、まさしく別世界だった。


服飾はもちろん、家具や調度品に至るまで貴族にふさわしい暮らしをしている。


ただ、ベッドの少女のみは、それらを与えられなかった。







お日様が登りきる頃。


今日も食事が運ばれてきます。


家には、かすかに魚の焼ける匂いがしていました。


今日は、お魚かぁ。


そう考えていると、部屋の戸を叩く音が鳴りました。


「…食事を、お持ちしました」


私は、身体を上だけ起こして迎え入れます。


それだけで、少し疲れましたけど、しょうがないのです。


「…ぁりがとぉ」


うん、今日は少し上手に声が出ました。


「…!…失礼します」


あ…。


また、使用人さんを困らせてしまいました。


なかなか、挨拶は上手くいかないですね。


さて、今日はやっぱりお魚を焼いたものです。


お食事は、毎日の楽しみの一つです。


今日も、美味しくいただきましょう。


たとえそれに、


毒が入っていてもです。







「ごちそぅさまでした…」


美味しかった、と思います。


うーん。でも正直よくわからないです。


今日のは、舌がじんわり麻痺しちゃって感覚がなくなりましたもん。


でも、頭ががんがんしたり、どこかが痛くなったりしないので、今日は当たりでしたね。


「…く…ぁ…ん…」


お腹いっぱい食べて、また眠くなってしまいました。


しばらくしたら、使用人さんがお皿を取りに来てくれるはずです。


ちょっと悪い気もしますけど、任せちゃいましょう。


じゃあ、おやすみなさい…。

吐血系の毒の場合

「今日のお肉はやわらかぁごっ゛っ゛っ゛っ゛は゛ぁ゛あ゛!゛!゛!゛!゛」

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