第34話
賞用の話書いてたのでずっと放置してました
また再開します
まず窓の隙間から差し込む太陽の光が康大の目を覚まさせる。
その後、二度寝を決め込んだ康大を女神が無理矢理起床させた。
【起きなさい人の子よ、この偉大で慈悲深い女神様が眠気を堪えて仕事をしているのに、自分だけ惰眠をむさぼるとは良い度胸ですね】
「……うざ」
【殺しますよ人の子よ】
ミーレの瞳がすさまじい明るさで明滅する。
なんともはた迷惑な能力だ。
これには康大もほぼ一瞬で目を覚ました。
ただし、目を開く前に女神によって強引に瞼を押さえられる。
目を瞑らないと見えない世界で、現実の瞼を閉じさせるなんてどういう無茶苦茶なスキルだと、康大は心の底から突っ込みたくなった。
【まだ目を開けるのは早いです人の子よ。話は終わっていません】
「いや、今はお前に構っている暇は……」
【私にはあるのです人の子よ! 眠気を堪えて早朝出勤をしている私には!】
言われて辺りを見れば、例によって株式会社女神とも言うべきオフィスだった。ミーレも、仕事着であるひらひらの白いドレスを纏っている。
【そろそろ上に報告書を書かないといけないのです人の子よ。いつもなら転生させた人間はスへ○ランカーのように即死するので、「送ったけどすぐに死にました」で済んだのですが、人の子が予想以上に生き残り、報告書もしっかりした物を提出する羽目になりました】
「久しぶりのゴミのような伏せ字……。そもそも俺を通して今までの経緯は見てたんだから、それを書けば良いだろ」
【そんなこといちいち覚えているわけがないでしょう! 夏休み最終日の絵日記みたいなもので、まとめてやろうとしたら、もうほとんど忘れてしまいした! だから貴様が責任を取るのです!】
「クソみたいな責任転嫁だな。けどそんなの知ったことか。俺は今お前に構っている余裕なんてないんだ」
【そうは言いますが人の子よ、ここで一端今までの流れを人に話して説明するというのも、悪くないのではありませんか? 人に話すことによって主観で体験したことを、客観的に理解することもできるのです】
「お前も客観的に仕事をこなすべきだったな」
【ぐぬぬ……】
ミーレが女神がしてはいけない表情で歯ぎしりをする。
あっちは命の危険も無く楽でいいなと、初対面から変わらない女神を羨ましく思った。
(とはいえ――)
今までの経緯を話すのは、確かに無駄でない気がした。
康大も落ち着いて考えをまとめる時間が必要だった。
「じゃあ王都に着いてからのことを話してやるからありがたく思え」
【分かれば良いのです。ていうかボイスレコーダーを用意するからちょっと待って】
ミーレは康大の視界から一端消え、がさごそと机を探し始める。
それから、どこかへ行って、数分してから戻って来た。
予想以上に時間がかかったのは、自分のものが見つからず、別の女神に借りにでも行ったためだろう。
本当にどうしようもねえ女神だなと、康大は改めて思った。
【それじゃあ始めて】
話し方を改めるのが面倒になったのか、ミーレは普段の口調で言った。
それで上司の心証を下げ、給料が下がったとしても康大には知ったことではないので、すぐに話し始める。
「まず船で――」




