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第46話 家族

西の都へ進む道。ハスキーがいるので安心感が増えた。

なにも戦力だけの話ではない。

嗅覚で西の都の方向がわかる。


目的地まで大分近くなってきた。

野宿するのもあと僅かだ。

その日の晩、ミューが食事を作り、勇者とハスキーがひとしきり遊んだあと、食事の席に着く。

ミューとハスキーは、勇者のために器を用意し、食事を盛り付けてやった。


「わぁ! おいちそー! いただきまーす!」


勇者がスプーンで小さい口に食事を運ぶ。

それを二人は微笑ましく見ていた。


「あ。そうだ」


ミューが立ち上がって荷車の幌の中に首を突っ込んで戻ってくると、そこには新しい服が携えられていた。


「はい。これハスキーの新しい服と革ズボン。今のは履いてて気持ち悪いでしょ? 脱いじゃって。洗濯するから」

「え? お、オレに?」


「そうよ。仲間じゃない」


ハスキーは思わず涙ぐむ。

この二人の仲間になって嫌な気持ちを抱いたことなど一度もない。そして、対等な扱い。

魔王の配下であった頃はそんな風に扱われたことはなかった。

服を持っていない仲間だって大勢いる。


「す、すまねぇな。すぐ履き替えるからよ」

「ちょ! せめて私が見てないところで!」


「お、おっと。気が付かずにスマン」


ハスキーは荷車の後ろに回ると、そこで着替えて戻ってきた。


「へへ。ピッタリだ。ミューは才能あるなぁ」

「ふふ。ありがとう」


「おじたん、新しい服似合ってるよ~」

「おう。ありがとなボーズ」


勇者は食器を抱えながらニッコリと二人を見て笑った。


「ボクたち、家族みたいだね」

「え?」


「おじたんはお父さんみたいだ」

「おいおい。せめてお兄さんと言ってくれ」


「えへ。おねえたんはボクのおよめたん!」

「まぁ!」


「へっ。歳が違いすぎらぁ。ってミューもまんざらじゃねーな。どうなってんだ?」

「ふふっ」


三人を三つのエグラストーンが明るく照らす。

荒野だが、ここには団らんがあった。

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