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第19話 レイヴン3

「あぶない!」


勇者は、地上の村人の心配をよそに笑顔で手を広げると背中の聖王のマントが鳥の翼のように広がり、羽ばたいた。


「おお!」


勇者の見事な着地に、集落間に拍手が巻きおこった。


「へへーん。おねえたん大丈夫?」

「だ、大丈夫ですよ。勇者さま」


心配そうにミューの顔を覗き込んだ後で、無事が分かったようでニッコリと笑った。


「よかった」

「助けに来てくれたんですね。勇者さま」


「うん。ねぇ、いいこいいこしてー」

「はーい。いいこですねー。勇者さま」


「えへへへへ」


ミューが勇者の頭をわしわしと撫でていると、丘の上から子どもたちが駆け下りてきて、勇者を抱えて胴上げした。


「オメー、やっぱりすげーぜ! 俺感動しちゃったよー!」

「おれも、おれも!」


「えへへ~。すごい? やったー」


その後、勇者とミューはお礼の貢ぎ物を受け取り、小さな荷車と老いたロバを貰った。


「こんなものしか出せませんが……」

「わー。すごい。お馬たんだ~」

「すいません。こんないいものを」


「なんでも、西の都に行かなきゃならねぇんでしょう? 歩くのには大変だ。幸い、このロバは年老いてますんで、言うことをよく聞きます。手綱を引けば止まりますし、ムチを打てば進みます」

「すごーい。ねね。ボクやってみたい!」


しかし、案の定手綱まで手が届かなかった。

勇者は仕方なくミューの隣に乗る。

この荷車はいわゆるリアカーというものだ。人も手で引けるが、ロバに引かせられるよう改良されており、前の部分に乗る場所がついている。後ろには幌がついており、小型の馬車と言った形。荷物を乗せる場所には、野菜の箱が二つ。麦の袋が三つ。水が入った蓋付きの桶が二つ。干し肉と塩が入った小さな袋もある。

準備は万端だ。

村人たちの別れを惜しむ声を受け、勇者たちは集落を後にした。

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