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(3)

ハルス様との気まずい空気を払拭できずにひたすら俯いていると

「リシャ殿、到着したぞ」

と馬車の外でハルス様が手を伸ばしていた。

「あ、はい!」

リシャは急いで立ち上がりハルス様の手を取り馬車から降りるとレイオス様が出迎えてくれていたことに気づいた。

たったの数日だったがかなり濃い時間を過ごした為、レイオス様の顔が懐かしく感じた。

「お疲れ様、2人とも大変だったでしょ?」

レイオス様の言葉にハルス様との気まずさが込み上げる。

ハルス様も同じだったようで黙り込んでしまった。

「あー、地雷だったか。とりあえず報告いっておいで、その後はゆっくり休みなよ」

レイオス様の言葉の通り、報告の後すぐ部屋に戻った。

マミュウラ様も明日まで休みを取ってもらうことにした為、特に話し相手もおらずボーッと外を眺めていた。




馬車で少し眠ってしまったからなのか就寝時間になっても寝付けずベッドで何度も寝返りをうっていると

コンコン

と窓の方から音が聞こえた。

気になったのでそーっと窓を開けると狼の形をした木製の人形が浮いていた。

宙を浮かぶその人形に触れるとリシャの身体も人形と一緒に浮かび部屋の外に出てしまった。

慌てて魔法をかけている人物を探していると徐々に下に降りていき地面に着地した。

寝巻きだった為、少し寒さを感じて身震いすると

「こんな時間にすまない」

とハルス様が上着をかけてくれた。

「ハルス様…?なぜ…」

時間もそうだし、ドアから訪ねてこなかった事も気になりリシャが言葉に詰まっていると

「先程、父に……リシャ殿にはもう会うなと言われた」

暗くて表情は見えなかったがとても辛そうなことだけは分かった。

「……何故ですか」

リシャはわけが分からず尋ねると

「リシャ殿は俺がリシャ殿を好いていることは知っているんだろう?」

ハルス様の言葉にドキッとした。

恥ずかしがり屋で奥手なハルス様がこんな質問をするってことはそれが問題なのだろうか。

「はい」

ハルス様を見つめ、はっきり答えると

「ハハ、やはり俺に脈はないみたいだな」

と悲しげに言うハルス様に何も言えずにいると、次の瞬間、部屋に戻っていた。

手には先程の狼の木製の人形が握ってあり、よく見ると目に緑色の輝く宝石が入っていた。

「もう会うなって……どういうことなんだよ」

どんなに考えても分からず、そのまま夜が明けるまでハルス様の上着を握りしめ、人形を見つめ続けた。

先程気づいたのですが、

1月頃に頑張ってくださいとのコメントをしてくださった方がいらっしゃって、かなりの期間が空いてしまいましたが、予想外の温かいコメントに涙が出ました。

ありがとうございます。

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