(1)
何やらとても疲れた様子のマミュウラ様が戻ってきた。
この様子を見るとレナタ様の暴走を止められなかったようだ。
「申し訳ありません。私には1歩及ばず...」
と悲しげに肩を落とすのマミュウラ様に
「まぁ、仕方ないですよ」
と励ます。
「今頃は国王様に直談判されている頃でしょうか...」
とリシャが呟くと
「ベルナーレ皇国があれほど滞在を嫌がっていたのに延長許可するとも思えませんからきっと大丈夫でしょう」
とマミュウラ様が言うので2人で部屋に戻ることにした。
部屋で一息つこうとしていると
「リシャ殿!!何やら大変なことになっているが滞在期間を伸ばすつもりなのか!?」
ハルス様が慌てた様子で尋ねてきた。
「いえ、レナタ様に本日の午後に帰国することをお伝えしたところ、すごい勢いで出ていかれたのです」
リシャが悲しげに語るとハルス様は心底ホッとしたように息を吐いた。
しばらくするとレイオス様から貰ったペンダントが赤く輝き微動している。
なんだかスマホのバイブレーションみたい。
中心の宝石をそっと握ると、レイオス様の声が聞こえた。
「リシャちゃん!???なんかリシャちゃんがナタカラ国に残りたいっていう申請書類がこっちに届いてるんだけどどういうこと!???」
レイオス様はかなり混乱しているようだ。
というより、書類届くの早すぎ。前世の書類もそのスピードで出せたらよかったのにな〜。
っていうのは置いといて、
「違います!午後に帰国することを伝えたところレナタ様が少し早とちりされているようで...」
と伝えると
「あ、良かった。そういう事ね。じゃあ却下して送り返すね〜」
と言われた。
いや〜良かった良かった!レイオス様のおかげでベルナーレ皇国に帰れそうだ。
とルンルンしていると、もう午後にさしかかろうとしていた。
「あ、帰国の準備!」
と立ち上がったが、どうやら侍女たちが準備を進めてくれていたようだった。
「リシャ様は馬車にのられるだけなので準備は気にしなくても構いませんよ」
とマミュウラ様に言われた。
前世の記憶があるせいか自分のことは何かと自分でしたくなってしまう。仕方ない。
帰国するため馬車に向かおうとしていると、慌てた様子のレナタ様に引き止められた。
だが、私の滞在は無理だと悟ったようで小さなスノードームのようなものを渡された。
「立場上、またこのように我と会うのは難しい。せめて、これだけは土産だとでも思って持っていてくれ。」
と言われた。
それなら...と貰い受け、余りにも呆気ない別れの挨拶に若干の怪しさを感じつつもやっと自国に帰れることへの安堵で帰路は馬車の中で少し眠ってしまった。
もう少しで冬休み!課題が一気に押し寄せてきてて怖いんだけど休みが近くなるとウキウキしますね。