正直、迷惑です(3)
ハルス様が去った後、レナタ様は思考が追いつかずただぼーっと立っていた。
「じゃあ、リシャは何が好きなんだ……」
喜ぶと思った男どももみんなダメだった。
アルライナはイケメンを出すととにかく喜んだ…なのに。
宝石も高価な装飾品も、女なら喜ぶと……。
だが、ハルスは喜ばないと言っていた。
リシャはアルライナと違うのか……母と…何でこんなにも違うんだ。
レナタ様はリシャが何をすれば喜んでくれるのかわからず考えるのをやめて歩き出した。
悩んでも無駄だと気づいたからだ。
今はとにかくリシャを探そう。
たまたまアルライナの部屋の近くを通っているとアルライナの隣室から何かが聞こえた気がした。
いつもなら気にしないが何となく気になり扉を開く。
「リシャ…?」
扉を開いたレナタ様の目に映ったのは自分が探し続けていたリシャ………それとそのリシャに抱きしめられるリシャの周りをうろちょろしていた護衛の男だった。
どういうことだ。何故リシャは護衛に抱きついている。何故だ。リシャは………こいつのことが……?だから男も要らなかったのか…?
レナタ様がそんなことを考えているとリシャは慌てて立ち上がる。
マミュウラ様もようやくレナタ様のことに気づきすぐ、護衛に戻った。
「れ、レナタ様!この部屋に何か御用ですか?」
慌ててリシャがレナタ様に尋ねると
「いや………リシャを探していた……音が聞こえたから入ってきたのだ…」
「そ、そうですか。私に何か??」
「あ、あぁ………………………………ダメだ考えても意味が無い。」
「へっ?」リシャは驚きのあまり素っ頓狂な声が出た。
「リシャ!率直に聞く!お前は何が好きなのだ!?我が与えた男どもが要らなかったのはその男の事を好いているからか!?」
マミュウラ様は少し恥じらいを見せたが護衛中のため平常を装う。
リシャは予想外に率直に来た言葉に顔を赤らめ混乱しながらもできる限り丁寧に答えた。
「わっ、私はっ、えっと、男の人が欲しいと思ったこともないですし……えっと……マミュウラ様…あっ、この方の事とは関係はありません!!」
「では何故その男に抱きついていた」
オブラートのオの字もないくらい真っ直ぐな質問がリシャを襲う。
「えっ……あっ、それは………」
(もうダメだ。なんて言えばいいんだよ)
リシャは適当な言葉が思いつかず半泣き状態でマミュウラ様に目で助けてと訴える。
マミュウラ様が悶える。
マミュウラ様はすぐ真顔に戻り、
「リシャ様は常に護衛をする私の体を案じ、抱擁という形で私を労ってくださっていたのです」
説得力があるような、ないような……。
だが、レナタ様には納得が出来たようだ。
リシャが胸をなでおろした瞬間レナタ様に強引に腕を引っ張られた。