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怖くなんてない(6)

今回、説明が多くて長めです。

「…どういうことだ」

ハルス様は混乱したようにマミュウラ様とリナールを見ていた。

リシャは突然のことに頭が真っ白になった。

「あれ〜なんかもっとギスギスすると思ったのに〜」

リナールが少し残念そうに笑った。

マミュウラ様はもう睨む気力すらないようだった。

「ほんと…魔族って…」

ふとそんな言葉がリシャからでた。

「ホントだよ〜って言っても…」

「私が話します」

リナールの言葉を遮ってマミュウラ様が意を決したように声を出した。

「ちぇー」

リナールは残念そうにしながら消えた。

「えっ消えた!?」ハルス様が驚き声を上げた。

リシャが「リナールは気まぐれだから…」と答えた。

きっとハルス様はそういうことを聞きたかった訳では無いだろう。

「私のことについてリシャ様には私から話したかったのです。よろしいですか。」

魅入ってしまいそうな真っ直ぐな瞳でマミュウラ様がリシャを真剣に見つめた。

ハルス様は許容範囲内を大幅に超えてしまっていたようで「風に当たってくる」と言い悩ましい顔をして出ていった。


ハルス様が部屋を出てリシャとマミュウラ様はひとまずソファに座った。

マミュウラ様は座るのを拒否していたがリシャがソファから立とうとすると慌てて座った。

2人は対面する形で座りしばらく黙り込んだあと、マミュウラ様が口を開いた。

「私の母は人間でした。」

「でした?」

「はい。私を身篭った時は。」

「???」リシャは意味がわからず首を傾げる。

(人間が魔族に……??)

「父は母が私を身篭ったあとに事故死し、母はショックで日に日に体を弱らせていきました。そこにある悪魔が母を誑かしたのです。その悪魔は化けるのが得意でした。死んだ父が蘇ったかのように振る舞い、それを信じた母は父と一緒に居たい精神で悪魔と契約を交わしました」

マミュウラ様はこれまで見た事ないほど悲しい顔をしていた。

今更引き下がれずリシャも深く踏み込む決意をした。

「契約は、どう言った内容なんですか。」

リシャが踏み込むとマミュウラ様はリシャを見て少し微笑んだ。

「その悪魔が父として2ヶ月母と生活し、その後はその悪魔の眷属になるという契約です。」

「その契約とマミュウラ様が魔族というはどう言った関わりがあるのでしょうか?」

「『魔族』というのには少し語弊があるかもしれません。私は『半魔人』という部類になると思います。」

「半魔人…ですか」

リシャは長く自分の近くにいたマミュウラ様が人間では無いと言うだけでこんなにも遠く感じてしまうということに悲しみを感じた。

「母が契約した時に私はまだ母のお腹の中で私は母の一部でした。その契約に私が含まれていたのです。ですが、契約の2ヶ月を迎える前に私は産まれました。その時点で私という個になったのです」

「それならどうして半魔人に……」

リシャが首を傾げるとマミュウラ様は少し笑い

「契約時は私も含まれていたのです。なので私に魔が混ざった。それだけの事です。」

と答えた。

「ということはマミュウラ様はその悪魔の眷属になるのですか?」リシャが疑問をぶつけると

「私が産まれたことにより私は個になりました。母が眷属になるという契約のため、対象者は1人だったのです。なので私には魔が混ざっただけで眷属にはなりませんでした。」

マミュウラ様はまっすぐリシャを見つめた。

「そうなんですね」

マミュウラ様があまりにも遠くに感じ、リシャは無意識にマミュウラ様の拳をそっと握った。

「り、リシャ様…?」

マミュウラ様は少し頬を赤らめ驚いてリシャを見たが、リシャの悲しそうな顔を見てすぐ俯いた。

「すみません。悪魔は……いえ、魔を持つと欲望を抑えるのが難しくなるのです。なので私はリシャ様があの悪魔と共にいるのがずっと嫌でした。いつかまた母のように連れていかれてしまうのではないかと……また、魔を含んだ私も…いつかリシャ様に危害を加えてしまうのではないかと…」

リシャはマミュウラ様が悪魔を自分と重ねてみているように感じた。

「怖くなんてない。怖くなんてないよ。私はマミュウラ様を怖いなんて思わないよ。私はこれまでマミュウラ様と一緒にいて楽しかったし嫌な思いをしたことなんてないよ。これまでもないし、これからもないって思う。」

リシャがマミュウラ様にそう声をかけるとマミュウラ様が顔を上げた。

「………あ」

次の瞬間、マミュウラ様は俯いたがマミュウラ様の拳を握ったリシャの手に綺麗な雫が落ちた。

それを見たリシャはじっとしてられずマミュウラ様をできる限りそっと抱きしめた。



「…これからはもっと強引になっても……許してくださりますか?」

しばらくの沈黙の後、マミュウラ様はお菓子をねだる子供のようにリシャに尋ねる。

▶マミュウラ様に対するリシャの好感度がアップした

(くっ、ここでおねだりとか……ギャップが……)

そんなことを考えながらもリシャはマミュウラ様の上目遣いにやられ、「いいよ」としか言えなかった。

遅くなっちゃってすみません!

夏休み前なので学校が忙しくなっちゃって……(›´꒫`‹ )

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