怖くなんてない(4)
「ハルス様!!!?どこへ行かれるのですか!!!?」
リシャはアルライナの大きな声でまたもハルス様を忘れていたことに気がついた。
ガチャ
扉が開いた。
「た、助けてくれ」
ハルス様がげっそりした顔で入ってきた。
急いで扉を閉じると外から
「ハルス様〜!!どこに行かれたのですか〜!!」
と叫びながら走っていくアルライナの声が聞こえた。
「ご、ごめんなさい!二人で話してて……」
リシャが慌てて謝るとマミュウラ様も申し訳なさそうな顔をする。
「アルライナ殿は何故俺にこんなにも好意を……あっ、リシャ…いやっ、な、何でもない…!」
ハルス様はぼやきかけてすぐ誤魔化した。
が、バレバレだ。
「肖像画を見て一目惚れらしいよ?ね?リシャ」
リシャの後ろから声が聞こえた。
驚き声のするほうを見るとリナールがニコニコしていた。
「リナール、何でここに?」
「面白そうだから〜♪」
「全然面白くないけど…」
「何言ってんだよ〜。リシャがいるだけで充分面白いよ〜?」
「嬉しくない。」
「そぉ〜?」
ハルス様は驚いた顔をしていてマミュウラ様はリナールを睨んでいた。
「てか、リナールがなんでアルライナ様の一目惚れのことを知っているの?」
リシャが尋ねると
「俺、悪魔だよ?人の心読むくらい簡単。ね?」
マミュウラ様がムッとした。
「あっ、リナールは悪魔だけど、まだ何もしてないし……」
リシャは慌ててリナールを庇う。
「リシャ様がそうおっしゃるのなら…」
マミュウラ様は下がってくれたがハルス様は考えることが多すぎるようだ。
「あ、ハルス様?大丈夫ですか?」
「へっ?あ、え?一目惚れ…?え、てか、知って…?悪魔……?リナール……?」
「はい。アルライナ様がハルス様に好意を抱いているのは知っていました。私、アルライナ様とはお友達なので…」(違うけど)
ブフォッ
リナールが吹き出した。リシャの心の声を聞いたのだろう。
「そうか……あ、でも、俺はアルライナ殿に答えるつもりはない………あ、アルライナ殿の気持ちを蔑ろにするつもりではないんだが………」
ハルス様がアワアワしだした。
「はい。ハルス様がそのような方ではないと分かっています。答えるのはゆっくりでもよろしいと思います。」
リシャがハルス様に微笑むとハルス様も少し落ち着いたようだ。
リナールはまだ笑っている。
「ちょ、リシャ…猫かぶり凄すぎね…」
(そんなことで笑ってたのか)
「知ってたけどここまでとは…」
リナールは肩を震わせずっと笑っている。
(一応聖女だからな)
「これじゃ俺が落とすまでもなく落ちてくれそう?」
リナールがニヤリと笑う。
「は?どういうこと?」
リシャが聞くと同時にマミュウラ様が剣を握りリシャの前に飛び出た。
「あー、あー、冗談だって〜ルシエラ君?」
(えっ、なんでリナールがマミュウラ様の名前知ってるの?心を読んだのか??)
「お前なんか信用できるか」
マミュウラ様は敵でも見るかのようにリナールを見つめていた。
話に関係ないことで申し訳ないんですけど、学園祭の準備って、すごく長くて大変なのに終わるとあっという間ですよね。
ちょっと悲しくなりません?
これまで準備を手伝わなかったやつが皆が一生懸命作った設置物を壊す時だけストレス発散って言いながら嬉嬉として壊すの見るとイライラしちゃいます。