これ以上は結構です(4)
はっはぁん。
あんたら、もしかして俺が魔法使って最強☆みたいな展開期待してるんじゃないか??
残念だったな!
これはそーいう作品じゃねーんだなー。
ほんとに残念ながら。
あ、いや戦わないに越したことはないけど、ファンタジーに対するあこがれはあるんだよ。
俺もな。
俺強ぇーーー!みたいな展開俺も期待してる。
でも、無理だ。多分。
え、またタイトル詐欺疑惑?
違うもん。一応最強だもん。一応。断言はしない。
まぁ、今はそれよかあれだな。
ナタカラ国の城にハルス様を連れていく方法を考えるのが先だな。
後でレイオス様に聞いてみよう。
「ってことなんですけど、もしもハルス様に「なんで俺までナタカラ国に?」なんて聞かれたら私上手に言いくるめられる自信ないんですよ。」
リシャがレイオス様に助言を求めた。
「リシャちゃん。なんだか素を出すようになってきたねぇー」
レイオス様が感慨深そうに微笑んでいた。
「あら、前の方がよろしくて?」
リシャがむくれてみせると
「いーや。リシャちゃんが俺を認めてくれた気がして嬉しいかなー」
とレイオス様は無邪気に微笑んだ。
(うぉ、そんな笑い方もするのか。これだからイケオジは油断出来ん。ときめいたわ。コノヤロー。)
「あれー?リシャちゃんときめいちゃったー?」
レイオス様が意地悪く笑う。
「そ、そんなことより!私の話聞いてます!?」
(これだから勘のいいやつは……)
リシャは急いで話を戻した。
「聞いてたよー。簡単だよ。リシャちゃんが一緒に行きたいからって言えばハルスくんは喜んでついてくるだろうね。あ、ナタカラ国の聖女様が言ったからとか口が裂けても言っちゃダメだよー。落ち込んじゃうから。」
「あーなるほど、たしかに簡単だな」
リシャは納得した。
「リシャちゃんも意地が悪いねー」
「あら、どういうことかしら?」
「いいえ、なんでもございませんよー」
リシャとレイオス様は顔を合わせて笑った。
案の定、リシャが一緒に行きたいからと誘うとハルス様は目を輝かせて最大に喜んでいた。
リシャが(つい最近まで戦争していた国に自ら赴くなんて…まして王子は絶対ダメだろ。俺のことどんだけ好きなんだよ。)と思っていたことは伏せておこう。
やはり戦争を仕掛けられた国の王子が戦争を仕掛けた国に赴くなど許されないと抵抗する声が多く挙がったが戦争をしかけた謝罪の品や文などはナタカラ国から山ほど送られてきていたため国王は渋々了承してくれた。
アルライナにハルス様を連れて行ける報告を手紙でしたところ、準備は出来ているからすぐにでも来いという手紙が即刻帰ってきた。
行く側にも準備があるから来週向かうことにすると手紙を送ると「あっそ」とだけ書かれた手紙が返ってきた。
友達でもそんな素っ気なくねぇぞ!!あ、もう友達なんだったっけ?まぁ、いいや。
来週か、なんか嫌な予感しかしないな……はぁ。