これ以上は結構です(3)
「友達……ですか」
リシャが恐る恐る尋ねる。
「なによ!いやとでも言うつもり?」
「い、いや!とても嬉しいです!」
「そう、ならこれで戦争は終わりね」
戦争はあまりにもあっさり終わりを迎えた。
「ハルスくんには気の毒だが仕方ないねー」
作戦基地への帰り道、レイオス様が笑いだした。
「え?どういうことですか?」
リシャが不思議に思い訪ねてみると
「あれ?リシャちゃんは気づいてなかったの?」
「……?はい…なんのことでしょうか」
「ナタカラ国の聖女様ね。ハルスくんに近づきやすい最短ルートの道を見つけたんだ。」
遠回しすぎてリシャには何のことか分からない。
「もっと分かりやすく言ってくださ…」
「リシャ殿!無事ですか!」
ハルス様の声が聞こえた。
あぁ、いつの間にか作戦基地に着いていたようだ。
「はい。大丈夫です。マミュウラ様とレイオス様が護衛を引き受けてくださいましたから」
リシャが微笑むとハルス様はホッとしたようだった。
「本当に戦争を終えるとナタカラ国の聖女様はおっしゃったのですか!?」
「はい」
ナタカラ国の聖女と友好関係を結び戦争を終結させたと話すと兵士たちは口々に歓喜の声を上げた。
「でも、どうやって説得したんだ?」
ハルス様はリシャに尋ねる
「あー……それは……」
(言ってもいいのか……ダメな気がする……)
リシャが返答に悩んでいると
「簡単に言えば、ハルスくんのせいで、ハルスくんのおかげって感じかなー」
またレイオス様が分かりにくい言い方をする。
「ん?どういうことですか」
ハルス様にも伝わらない。まぁ伝わったら伝わったで怖いけど。
「ないしょー」
レイオス様に誤魔化されハルス様は腑に落ちないようだったがそれ以上は聞いてこなかった。
きっと嫌な予感がしたんだろう。
1週間後、
早くもアルライナから手紙が届いた。
謝罪の意味も込めてリシャたちを城に招待したいと。もちろんハルス様も連れてこいと書いていた。
ハルス様になんて言えばいいのやら。
リシャは頭を抱えた。