これ以上は結構です(1)
口調戻っちゃってたけど大丈夫なのかって?
あー大丈夫大丈夫!
あの2人、結構前から俺の口調気づいてたし。
ハルス様はまだ気づいてないけどな。
あ、そんなことより!!!
俺今すげぇ修羅場っぽいんだよ!
もうちょいでアルライナ説得できてたのによー!
あーいうのは勢いが大事なんだぞ!!
誰だよほんと!!邪魔しやがってーー!!!
「どういうつもりだ」
2人がリシャを守るように囲み、マミュウラ様が凄む。
叫びながら入ってきた豪華な服を着た男は、白銀の髪に褐色の肌の体育会系イケメンである。
(ん?待てよ。イケメン………こいつ…もしかして…………!!)
「マ、マミュウラ様!レイオス様!帰りましょう!!今すぐ!!」
リシャは慌てて2人の袖をつかみ必死に声をかける。
2人は想定外のリシャの行動に驚く。
「え、いや、リシャ様、安心してください。この人数であれば問題ありません。」
(は?)
どうやらマミュウラ様はリシャが兵士たちに怯えて言ったことだと勘違いしたようだ。
「ブフッ」
隣でレイオス様が吹き出した。
レイオス様はリシャが言わんとしていることが分かっているようだ。
「ルシエラくん、違うよ。彼らはリシャちゃんに危害を加えないだろうし、リシャちゃんもそこは気にしてない」
レイオス様は笑いを堪えながらマミュウラ様に告げた。
「え?そうであればどうして……」
マミュウラ様は悩みながら兵士たちを見た。
すると兵士たちは「も、申し訳ありません!!レナタ様!!このような事が国王様にバレては国王様に顔向けできませぬよ!」と豪華な服を着た男に必死に声をかける。
(あいつレナタ様って言うのか……やべっ!目が合った!!)
急いでリシャは目をそらす。
するとレナタ様と呼ばれた男は兵士たちを無視し、
「隣国の麗しき聖女様!我の名はレナタ・ナタカラ!ナタカラ国の王子である!」
やけに堂々と自己紹介をする。
相手が挨拶したのだからリシャもしないといけない。しかも相手はナタカラ国の王子だ。
「ご丁寧にどうも……リシャ・スティードルと申します。ベルナーレ皇国の聖女でございます。」
リシャがいやいや挨拶すると
「リシャ……名前まで可憐で美しい……」
(いきなり呼び捨てかよ!)
と思ったのはリシャだけではないようだ。
マミュウラ様とレイオス様の目付きが変わった。
マミュウラ様もようやく理解したようだ。
「聖女様を許可もなく呼び捨てにするなど………」
後ろの兵士たちは事の重大さに顔面蒼白。今にも倒れそうだ。
そんなこと気にもとめずレナタ様はまた場をかき乱す。
「リシャ!我の嫁になれ!」