聖女ですが中身は男です(2)
やあ!みんな!今日はいい天気だぜ!
王宮で過ごすなんて堅苦しくてなんか嫌だなーとか思ってたけど、案外普通に過ごせたな。
おっと、それは置いといて……
今日は待ちに待った魔法学園の入学式だ!
いやー楽しみだなー!友達できるかなー!
「とか、思ってたんだけどなぁ…」
聖女には専属の教育係がつくため学園には入学出来ないと今朝方侍女に教わった。
なんでだよ!学園モノよくない!?!?いいじゃん!学園モノにしよ???同世代の男女でアハハウフフじゃだめなのかよ!???
リシャはフカフカのソファに腰をかけ憂鬱そうに俯いた。
「聖女様、どうか致しましたか?」
2次元にいそうなほどの輝きをまとった男がリシャを見つめる。
「い、いえ、なんでもありませんよ。」
リシャは慌てて男に微笑んだ。
この、見つめるだけで女を100人は殺せそうなイケメンはルシエラ・マミュウラ、この国の第1魔法騎士団の団員さんでリシャの護衛を務めるとつい先程、紹介を受けた。
侍女達の噂によると、魔法騎士団1のイケメンでサラサラの黄金色の長髪と対象的な吸い込まれるような真っ赤な瞳に恋に落ちたと言う女性が多く、元平民であるにもかかわらず貴族からも婚約の申し込みや養子の要請が来るほどなのだそうだ。
「せ、聖女…様……?」
「……はい?」
女性ならば卒倒しそうな艶っぽい表情で顔を赤らめたマミュウラ様に、ぎょっとすると、
((はっ!!しまった!!))
考え込むあまりマミュウラ様のことをガン見してしまっていたことに気づいた。
((何とかしなくては!!))
「え………えっと……ま、マミュウラ様はとても珍しい目色をしていらっしゃるのね。」
「え……あ!はい。母がたの祖母が他国の出身でして、この国では珍しい目色だと思います。」
なんともベタな誤魔化し方ではあるが何とかなったようだ。
「そうなのですね。とても綺麗な色で、つい見惚れてしまいました。」
聖女らしく振舞おうとしたのが仇となった。
((ぬぉおおおお!!なんて恥ずかしいことを言ってしまったんだ!!!俺は!!!))
遅れてきた羞恥心に苛まれ火照った顔を隠そうと俯くと
「リシャ様も……とてもお綺麗でいらっしゃいます」
マミュウラ様はリシャの頬にそっと触れ、はにかんだ。
その後すぐ食事の時間になりマミュウラ様は退出した。
ちょっと!!!!ちょっとちょっと!!!!
待ってよ!!なんかおかしくない???
何この甘々なショートケーキみたいな展開!!!
いや、俺男だぞ??いや、今女だけども!!
「はいはーい!私が説明するよ!」
いきなり美女が降り立った。神様だ。
「リシャちゃんは~前世で~どんなお願いしたかな?」
は?そんなの決まってるだろ。
【イケメンに生まれてモテモテの人生を歩みてぇ】
「だよねぇ~?」
おい!!!嘘だろ!!!モテモテってそういうこと???
女の子じゃないの!?!?!?
「そうだよ~」
なんて神だ………。
「イケメンさんと絡む度にモテモテ効果が現れるからね~」
神様はそう言い残し手を振りながら帰っていきやがった。
この先が思いやられる………せめて、この先関わる人達がイケメンでないことを願おう………。
この先、逆ハーレムに突入するなど、つゆ知らず学園モノに突入しなかったことを心から喜ぶリシャであった。