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転生?


ぼくは東京都のとある会社に勤める、42歳のしがないおっさんだ。

席は窓際の端っこ。20年間この会社に尽くしてきたつもりだ。

しかし悲しいかな……依然、平社員である。

なぜ周りの後輩が昇進していく中、ぼくだけが平社員のままなのか、答えは明白である。

ぼくはほかの人とちょっと違う。

ちょっと違うというか、どかんと違うというか、そこら辺はあいまいなんだけれど。

とにかく、ぼくは要領が悪い。頭も悪ければ、運動だってほかの人よりも劣っている。

腹が出ているからとか、そういうことじゃなく。

まぁ、仕事に運動はあまり関係ないんだけど。


ぼくは世間でいう、窓際族、というものかもしれない。

ときどき、どうして自分は生きてるんだろう、なんて考えてしまうこともある。

辞めてしまおうか、そういう考えがふわふわと飛んできて、ぼくの頭を苛む。

だが、そこでぼくはいつも踏みとどまる。

ぼくには、給料を稼がなければいけない理由があるからだ。

愛する妻がいて、子供もいる。

それだけが生きがいで、こんないてもいなくてもいいような場所で、ぼくは頑張っているのかもしれない。


室内はガンガンに冷房が効いているから涼しいが、窓の外は灼熱の太陽が照り付けムシムシと熱い。

今日は最高気温36度とか言っていたっけ。

外で仕事をしている人は大変だろう。

熱中症で倒れてしまうかもしれない。


「熱中症かぁ……」


ぼくはパソコンの画面から体を離しながら、昔のことを思い出していた。


「お疲れ様です、ぼくさん」


ぼくが一息ついたのを見計らって、隣に立っていた地縛霊のかよこさんが声をかけてくれた。


「あぁ、ありがとう。君もずっと立ったままで大変だね」

「いえ、足ありませんから」

「そうだったね、ははは」


ぼくが笑うと、かよこさんも笑った。

はた目にはぼくがぶつぶつと独り言を言ってるようにしか見えないだろう。

しかも急に笑い出したのだ。

頭がおかしい人、と認識されていてもおかしくない。

実際、部署内では、ぼくのことを気味悪がっている人も多かった。


そんなある日のことだった。

ぼくが人通りの多い街中を歩いていると、突然後ろから誰かに包丁のようなもので心臓を貫かれて、






……死んだ。






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