第1話
~プロローグ~
人を傷つけるのは人
人は知らない間に人を傷つけてしまうことがある
人は何故人を傷つけるんだろうか?
人に傷つけられたくないなら、関わらなければいい
人に傷つけられたくなければ、心を開かなければいい
だから――自分は心を閉ざした――
朝・・・今日も自転車に乗っていつも通りに学校へ行く。
月曜日の朝はいつもより憂鬱――。何故なら、また学校が始まるから。自分にとって学校なんてものは疲れるに他ならない。それでも、行かなければならない――だから仕方なく毎日行っている。
「おはよ~。・・・藍?」
そんなことを考えているといきなり声をかけられた。
「どうかしたの?」
「あ、いや、なんでもない。おはよう。絵美。」
「うん。おはよう。」
「・・・優子は?」
絵美が自転車をこぎ出したので、すかさず聞いてみた。
「あっ、ごめん。優子、今日遅れるんだって。」
「そっか。」
と言って自分も自転車をこぎ始めた。
今日も何事もなく学校に着いた。まぁ、何かあったら困るが。
「・・・それより、あ~い~。どうしよう~。マジやばいよ~。」
絵美が何故そんなこと言っているのか分からない。
「え?何が?」
「何がって・・・。今日テスト4教科も返ってくるんだよ?」
「あぁ、なんだそのこと。」
と言って、なるほどと思う。でも、自分にとって、テスト返しなんてどうでもいいと言うのが本音である。
「なんだ・・・って何よ?どうせ、藍は頭いいからまた、450以上なんて余裕なんでしょ?私なんて平均点もないのに。」
絵美にそう言われた、藍は苦笑いを返した。
テスト――か。実は、自分はみんなと比べると勉強なんてやってない方だ。普通に提出物をやるくらいで。家で自主勉強なんて、まぁせいぜいやったと1時間程度だろう。だけど、いい点がとれてしまう。本気で勉強すれば500点もいけるかもしれない――と自分で思うほど。って、自分で言うのは何なんだけど。
藍がそんなことを考えていると一時間目が始まるチャイムが鳴った。
優子は3時間目の前に登校した。
「おはよう。石川さん。」
そう、声をかけてきたのは席が斜め前の木村君だった。
「おはよう。優子。」
そして、その隣の藍ちゃんも声をかけてくれた。
「お、おはよう。」
そう言いながら机に鞄をおき、教科書を机の中に入れ始める。
「優子、大丈夫?顔色あんまりよくないけど。」
「そうだな。休んだ方が良かったんじゃねぇ?」
二人が言うように、私は体調がかなり悪かった。――けれど。
「ううん。平気だよ。心配しないで。」
余計な心配はかけさせたくなくて、小さな嘘をついた。
「ホントに?無理するなよ。」
「・・・うん。」
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
この時の優子はまだ、まさか自分があんなことになるなんて思ってもみなかった。