幼馴染み
幼馴染みの君がぼくの隣にいることが当たり前だと思ってた
大人になってもずっと一緒にいるんだと思ってた
結婚してないとしてもご近所さんとして朝あいさつぐらいならすると思ってた
──ぼくは、今もそう思っている
「慶兄彼女いないでしょ?付き合ってあげてもいいよ」
君のことが好きだけど今の関係が壊れるのが怖くて告白もできなかったぼくに君は手をさしのべてくれた
もちろんぼくの答えは『YES』
ぼくが中学二年の時だった
ぼくと君が付き合い初めても今までとほとんど対応は変わらなかった
ただ、君がぼくのことを『慶兄』から『慶太』と呼ぶようになったことが一番大きな変化だった
今まで通り君は好きな話をして一緒にゲームしたり君の服を一緒に買いに行ったりした
今までと違うのは、幼馴染みと行くのは抵抗があった『猫カフェ』に行ったことだ
ぼくは君が猫好きだということを知っていて、ぼくも猫が好きだったが男が猫好きというのはなんだか恥ずかしい気がして黙っていた
君は本当に猫が好きだったね
嫌いでいてほしかったな
君は昔から泣き虫だったね
ぼくが中学を卒業するとき君が在校生代表の挨拶をすると聞いた時
君が壇上で泣き出すんじゃないかと心配してたんだよ
でも君は強くなっていたね
君は泣かなかった
だけどぼくは君のことならなんでも知っているよ
君は悲しい時いつも耳を真っ赤に染めてたね
その時も真っ赤だったよ
本当に君は可愛いかった
君がぼくと同じ高校に入学してきた時は嬉しかったよ
ぼくが知っている中学生の時の君ではとても入れそうにない高校だったのにね
君はぼくが見ていないところで大きく成長するんだね
その時ぼくは君と別れたほうがいいんじゃないかと思ったんだよ
だけど君の隣にいるのが心地よくて言えなかったな
やっぱり君のことが好きだった
あの時、別れておけばよかったよ
ぼくが高校の卒業式の帰りに
ぼくが君に医者になることが夢で大学は医学部に行くって言ったとき
君は笑顔でぼくの夢を応援してくれたね
君は本当に可愛い
そして、変わってない
また耳真っ赤だったよ
君はやっぱりぼくがいないほうが成長するんだね
君はぼくと同じ大学に入ったとき
高校の時より複雑な気持ちだったんだよ
君は可愛いというより綺麗だった
縁を切っておけばよかったよ
ぼくが二十歳になったとき
君はサプライズでぼくの好きな劇団のチケットをプレゼントしてくれたね
本当に君は優しかった
ぼくはそんな君みたいに優しくなれないのにね
ぼくは本当に優しくない
その日の帰りに道端にいる猫がトラックに引かれそうになっているところを見ていたのに
ぼくは助けなかった
猫だからトラックぐらい避けれるだろうって自分に言い聞かせて
助けに行かなかった
その日以来君とは『会話』をしていないね
「ねぇ、君はいつになったらぼくと会話をしてくれるの?」
彼女からの返答は無い
「もう六年も、会話してないじゃない」
彼女からの返答は無い
「君は昔から口を利かなくなると長いもんね」
彼女からの返答は無い
「だけど今回は長すぎるよ」
彼女からの返答は無い
ぼくは本当に優しくない
ぼくにもう少し優しさがあれば君は『話せた』かもしれないのにね
ぼくが助けに行かなかった猫は君が助けに行って軽傷ですんだんだよ
だけど君は眼を覚まさなくなってしまった
君が猫嫌いなら良かったのに
高校の時、君と別れていれば良かったのに
大学の時、君と縁を切っておけば良かったのに
ぼくが君のように優しかったら良かったのに
「先生お時間です」
ナースの女性がぼくに言った
「うん。分かったよ」
ぼくはそう言った
「また明日もこの時間に君に会いに行くからね結衣」
ぼくは六年間寝たきりの幼馴染みにそう言って診察を待っている患者のもとへ向かった
少し狂気的に仕上げようと思ったんですが、感情移入してしまいまして...幼馴染みちゃんはまだ生きてます!
初めて小説(俺的なりの)書いたんですが評価ゼロ、ブックマークゼロを予想していたんですが評価、ブックマークしてくださった方ありがとうございます。
一応、続き考えてあるんですが短編ってことにしてしまいましたし...どうしよう?
↑についてのコメント、本編のコメントなどお待ちしております
(H30*1/10更新)