雨のち??
ちょくちょくネタを提供して頂いた方との合作第一弾!織田津(おだづ→原作担当)と茂童(もっこ→執筆担当)で織田津茂童!!
でびぅ!……かな?
あ、ワタクシ山田助兵衛は茂童のほうです。
「━━の地域は土砂崩れの危険のため、およそ30世帯の民家で避難指示が出されました!」
リポーターが緊迫した声でマイクに叫ぶ。
その向こうでは屈強な一人の男が雨の中、厳しい表情でどす黒い雨雲を睨んでいた。
「隊長!住民の避難は完了しました!」
「うむ、ご苦労」
男は自衛隊の部隊長であった。
その隊長が、今しがた伝令を持ってきた隊員の来た方向にほんの数メートル足を進めれば。
見上げた空には見事な青空が広がっていた。その背後から時おり風に煽られて雨粒が背中に当たる。
局所的というにも程がある、一点集中の雨なのだ。その範囲は数百メートル。おかげで河川の氾濫などは起きないものの、地盤の緩みは避けられない。何よりもその雨雲が頑として移動しないのが異常なのだ。
そこへ先ほどの隊員が再び駆けつけた。
「隊長!おもちゃメーカーより派遣されてきたという者がこちらに到着しました」
「なんだと?おもちゃのメーカー?この非常時に何の冗談だそれは?」
「それが、防○大臣よりの勅命を受けて来ているらしいです」
「……ここへ連れてきてくれ」
「はっ!」
ややあって、一人のサラリーマン風のスーツの男が妙な機械を持って現れた。
「はじめまして!私はおもちゃメーカーの━━」
「挨拶は結構。それよりもどういった理由であなたが呼ばれたのかを説明してもらえないだろうか」
「あ、はい!こちらは我が社が開発した『そらりんがる』という画期的なおもちゃで、雲や星、太陽などと会話のできる素晴らしい商品です!━━ああ、これは私が作ったんですよ。いや~~これは苦労しました。何度もボツをくらって改良を重ね……」
「━━で、それをどうするのかね?」
「あ、すいませんつい。このおもちゃの『くもりんがる』モードを使えばこの雨雲がなぜ雨を降らせ続けるのかを聞くことができます」
鼻息を荒くする男に対し、隊長の表情が次第に強ばっていったのは仕方の無い事であろう。
「……分かった。君に任せよう」
「はい!お任せください!」
男はおもちゃのような(おもちゃだが)ヘッドセットを装着すると、嬉々として黒々した空に話しかけた。
「雲くん雲くん。君はどうしてこんなに雨を降らせているのかな?」
「……隊長」
「何も言うな」
自衛隊の二人がしょっぱい顔を見合わせている間にも、男は雨雲と会話(?)を続けていた。
「なるほど、分かりました」
やがて男が隊長に向き直った。
「それで……なんと言っているのだね?」
『雲は』と言わないのが隊長のささやかな意地であった。
「はい、それがどうもある民家で『フラダンスの犬』のDVDを鑑賞していたのを窓から覗いていたようで、そのラストシーンが悲しすぎて泣いている、との事です」
「んなバカな……。それではこの地域から離れないのは?」
「空にうずくまって泣いているので動かないらしいです」
「物理の法則に謝れと言っておけ!」
「た、隊長!落ち着いてください!」
「……いや、すまん。とりあえず『ロム&ゼリー』のDVDを子供のいる隊員辺りから借りてきてくれ。それとDVDプレーヤーと大型のモニターの手配を大至急だ」
「了解しました!」
しばらくして。
雨が降るギリギリの位置に大型モニターとDVDプレーヤーか設置された。
「よし!再生しろ!」
暗い空に向かって永遠の名作アニメが流される。それを険しい表情で見上げる隊長の脇では男が「いや~何回観ても面白いですね!」などと、気楽にゲラゲラと笑っていた。
「お?」
ややあって、急速に雨が上がっていき、雲だけが空に広がるように変わっていった。
「やりましたね、隊長!」
「……信じられん。いや、信じたくはないが、とりあえずは雨さえ止めば何でもよかろう……」
(主に精神的な)疲労の見える顔で隊長は呟いた。━━が。
━━ゴロゴロゴロ……。
「何?」
不吉な音が鳴り響く。と、次の瞬間!
ピシャッ!ド━━━━ン!!
強烈な稲光と同時に轟音が轟いた。
「何だこれは!!」
「た……隊長!雷が!━━いやでも雨も降っていないのに!?」
カッ━━ドーン!カッ━━ドォォォォォン!
地上の驚きも嘲笑うかの如く、次々と落雷が落ちていく。
「おい!これはどういう事だ!!」
堪らずに隊長がスーツの男に怒鳴ると、彼は慌ててヘッドセットを装着する。
「く、雲くん!今度はどうしたのかな!?━━はい?はあ……そうなんですか。ええと、隊長さん?」
「今度は何だ!」
「えーとですね、今度『ロム&ゼリー』が面白すぎて空で笑い転げてるみたいです」
「物理の法則に謝れとでも言っておけ!!」
「うーん、なるほど。今後は野外での使用も考えて雷サージ機能も追加するべきでしょうか……」
「俺が知るか!!」
どぉぉぉん!すどばぁぁぁん!!
「おわっ!総員退避━━っ!!!」
取るものも取り敢えず脱兎の如く逃げる隊員は思わず呟いた。
「ダメだこりゃ」




