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VR戦国時代  作者: NHRM
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VR戦国時代

大敗を喫した織田軍は満身創痍ながら領地へと逃げ帰った。

その苦い経験は兵の士気を下げ、武田との再戦は時期尚早という判断を下さざるを得ない。

そのため、今回の戦いは忘れるほどの時間を稼ぎ、その間に毛利をどうにかする方針へと切り替えた。


武田や上杉、そして北条の三ヶ国も同じ状況ですぐには攻められないと判断した殿、織田信長は毛利攻めに集中するために国境の閉鎖を計画した。

それは遠く明で外敵からの侵入を防ぐ防壁を元にした、壁による隔離作戦だった。

明では馬や人が乗り越えられない3メートル程度の粘土質の土とレンガの壁があるという話があったのだ。


明よりも堅牢な防壁を築け、この言葉を元に攻められる前に万里の長城のような物を作ることになった。

秋も過ぎ去り、冬が到来すると完全に攻められる心配も無くなり工事は更に急ピッチで進められることとなる。

約半年の間で山の土は岩の人工物へと変貌し、更に工事の合間には木の伐採が行われたので織田の領地に隣接する他の地域は緑が少なくなっていた。

結果、山の保水力が木の減少によって低下したために土砂崩れなどを起こすようになるという嬉しい誤算もあった。


「海上封鎖せよ」


関東を縦に分断するような長く大きな建造物ができあがった。

その壁は、人が二人分ほどの大きさで6メートル程の高さである。

明にすらまだないであろう万里の長城らしき物である。

名前は織田の長城という事になっており、その堅牢さは城の石垣と大差ないほどだ。

これにより、武田と上杉と北条に攻められない準備が出来た。

さらに、貿易による行動を妨げるように長城の内側には港が作られ、海上封鎖が行われた。

何度か気付いた上杉や北条が攻めてきたが、破壊するには至れず追い返されるだけだった。


「まずは西へ、只管西へ進む。それから奴らへ報復するのだ」


そして本格的な毛利攻めが始まる。

それなりに大きい勢力である毛利を攻めるまで、万里の長城を作っていた半年ほどの準備期間があった。

その間、殿は二カ所に使者を送っていた。

一つは朝鮮、毛利の領地の場所をそれとなく教え財宝があると焚付けたのだ。

それだけでなく、数世代前の船や武器を売り捌き支援するなども行った。

同様な形で、元三好の奴らが押さえていた場所に隣接する長宗我部家の者達も軍事支援することを行った。


結果、毛利へと北からは朝鮮が責め立て南からは長宗我部が責め立てるという状況になった。

勿論、裏切りを考慮して武力による脅迫にて長宗我部から人質を手に入れ、その上で働き次第ではそれなりの地位を与える約束をしたのである。


「まぁ、勝手に戦争したければしてればいいんですよ」


さて、そんな風に織田家が暗躍する中で僕は技術開発に勤しんでいた。

弁慶とか慈円みたいに戦える訳でもないし、万里の長城を作ったことで長期の休暇を貰ったからだ。

新しい技術として、蒸気機関からコンピューターの元となった計算機を作り上げることができた。

また、磁石を回転させて電流を発生させる発電機が完成した。

これにより、突き詰めていけばいつしか電力が手に入ることが決定した。

今は人海戦術で石油や鉱山の探索をしている。

まぁ、深く掘らなきゃ無理だからメインは鉱山になっている。


「それにしても、今まで作った物から技術を調べるってのは楽じゃないですね」


長期休暇でしていることと言えば、職人達との技術を調べる仕事だ。

完成品を分解などして、どうにか自分達で実際に作れないかと調べるのだ。

まるで火縄銃を分解して、一から作れるようになったような工程である。

後方で出来ることと言えば支援のみ、火薬を作ったり食料生産したりなどである。

新薬の開発で野菜が疫病にならなくなったり、灰吹法を考えたことで鉱山からより多く取れるようになったり、そんなことばかりである。


「亜利栖様、こういうのはどうだろうか?ここをこうすると」

「おぉ、光ったりしますね」

「この光るのを利用して、長い送電と短い送電で感覚を開けることで母音と子音を表現するんだ」

「なるほど、あれ?それってモールス信号?」


まぁ、そんなこともあるけど後は消化試合みたいな物で時間さえあれば戦力差から簡単なことは明らかであった。


それからのことである。

電気の開発により、電気分解が可能となったことで水素を手に入れることが出来た。

これにより、飛行船の開発や爆薬の生産が可能となった。

ダイナマイトの発明により、飛行船からダイナマイトを投下、その後に火矢を放つという爆撃作戦も出来るようになった。

顕微鏡の発明で抗生物質の開発、生物兵器の開発がトドメとなった。

天然痘と呼ばれるウィルスの発見と感染しながらも研究することで発見した牛を用いたワクチンによって、織田の人間にだけ聞かないウィルス兵器の開発に成功したのだ。

なんでも昔からある病気らしく、予防が出来ることは画期的なことだったようだ。

分解の力で感染しては治療しながら、なんとか発見できて良かった。


1580年、ちょうど征夷大将軍になってから十年後のことであった。

織田幕府を今更ながら設立した。

本当は足利さんを倒してからそうなってたらしいけど、全国に認知されるのに時間が掛かったかららしい。

そんな織田幕府の功績は、天然痘のワクチンを開発したことであった。

これにより織田家に従う者達は神の加護、という名の予防接種が行われたことで流行病による疫病の被害がなくなった。


品種改良により大量生産出来るようになった野菜達、ビル群の植物プラントは電気灯の開発により日光を鏡などによって採光しなくて済むので天候に左右されなくなった。

また、温風を生み出すことやビニールの発明によって冬でも栽培が可能となったことで食料生産量も上がっていた。


それによって人口爆発によって生まれた子供達はすくすく育ち、栄養状態が良かったのか普通の大人より体つきは良くなっていた。

十歳くらいなのに、人によっては成人と間違えられると言えばそのすごさが分かるだろ。

そんな肉付きの良い少年兵の投入が可能となったことで、軍事力は拡大し尾張は弱兵と呼ばれなくなったのだ。


さて、そんな風に上手く行っていたのは織田家だけであった。

というのも、余所の家では天然痘が大流行していたからである。

まぁ、これは患者のかさぶたが落下したものでも1年以上も感染させる力を持続することを利用して、天然痘に感染した者の身体の一部を忍者達に持たせて敵対する領地で流行らせたからである。

運び込んだ物を水源や人に接触させるだけで自然と感染し、活版印刷によって神仏の怒りによって疫病が発生しているという情報操作の結果、寺院などに人々は集まってそこから集団感染などが起こった。


中には村ごと焼き払う家もあったが、それによって軍事力が低下して勝手に争って余所に家を潰されるという事がたくさんあった。

そのうち、毛利、島津、長宗我部が西日本を征服するも時間経過で同盟国である長宗我部家が最終的に西日本を統一した。

西日本は長宗我部に任せたことで、本格的な東北遠征を開始するも圧倒的軍事力と疫病による被害であっさり制圧が完了。

そして、日本は織田と長宗我部の連立政権の元に統一されたのだった。


「あっという間でしたね。まさか十年で内乱が終わるなんて……」

「でも、殿ってば地下資源がないって言って朝鮮からルソン、あと更に下の豪州を領土にするつもりらしいぞ。儂の天下統一はまだまだじゃとか言ってるらしい」

「おぉ……天下が日本ではなく世界規模とは、グローバル過ぎませんかね?もうお爺ちゃんなんですけど殿ってば」


日本は何とか統一されたが、それでも織田信長の野望はグローバルになっただけで終わりではなかった。

今度は海外に向けて天下統一は続いていく、そう新たな戦いが待っているのだ。


「ところで、何年たっても見た目が変わらないんですけど僕達いつ死ぬんですかね?」

「絶対人間じゃないよな。私達、おかしいよな」

「うむ、それなんだが……もしやゲームみたいに寿命で死ぬことがない設定になっているんじゃないか?ほら、シミュレーション系ってそういうのあるし」

「まさか、ハハハハ……マジで?」


どうなっていくのか、それは僕達にも分からない。

取りあえず行けるところまで頑張る。

僕達の戦いはこれからだ。


見切り発車でやってみましたが、取りあえず完結。

思ったより時代考証とか大変でノリで書く物ではないですね、時代ジャンルって。

元ネタは信長の野望、あんな感じのゲームを想定しています。



裏話

実はこの世界は過去でも何でも無く、仮想現実の世界です。

本編、三人は記憶を消した状態でテスターとしてVRゲームに参加しています。

因みに世界征服を最終目標にしていたので、彼らは世界征服するまでゲームクリアーしません。

信長の野望みたいに寿命での死亡なし設定で、自分で設定したメイキングキャラでプレイしてます。

つまり、タイトルが壮大なネタバレだったんだよ!


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