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VR戦国時代  作者: NHRM
26/27

北条、お前もか!

遅行戦術のせいで進軍は遅いが、それでも岩櫃城へと近づいて行った。

道中、武田が落ちたという知らせによって敵方の連合軍も瓦解したのか勝敗は優勢だ。

国人衆が裏切ったり、北条から武田の領地を得る代わりに上杉を撃つ同盟を組もうなどという手紙が来るくらいだ。

これはもう、勝ったなという雰囲気が織田軍全体に蔓延していた。


「これは拙いな」

「どうしたんですか、殿?」

「ふむ、これでは今川と同じになってしまう。杞憂でなければいいが」


今川さん?と首を傾げながら、何が心配なのかと思ってしまう。

今や、裏切りは義に反するとか言う上杉以外が味方に付いており、武田、北条、織田、対上杉のような構図だ。

毛利の方に戦力を割いているとはいえ、まだ余力はある。


僕達はそのまま岩櫃城へと近づいて行った。

宴の準備や遅延戦術のために木材を切る必要があったそうで、いくつか遠回りさせられたが城下町が一丸となって戦う準備をしていたのだから必要だったことなのだろう。

あえて、街道が通りにくくしているのは岩櫃城に攻めらないための苦肉の策だったらしい。

確かに、動きにくくて攻めるのは大変そうだ。

岩櫃城は、落ちたばっかりだからかボロボロで焼けていたり半壊したりしていた。

本当に裏切ったようで、殿の考えすぎであった。

後は上杉を討つだけである。


「待て、様子がおかしい」

「何を言う、宴を催していると聞いるからその準備に駆り出されているのだろう。早く行こうぞ!」

「それにしては人が少なくないか?」

「だから、城に集められておるのだろう。いない訳ではないではないか」


みんなで城下町に入り、後は城に入るだけと言ったところで慈円が呟く。

その言葉に、羽柴に最近解明した秀吉が文句を言うが僕はさっと弁慶の横に移動した。

慈円がヤバいって言ったら、ヤバそうである。


「……アレは反射光!?これは罠だ!」

「何故バレた!えぇい、撃てぇぇぇい!」


慈円が、草の合間から鎧の輝きを発見する。

そしてその言葉と同時に、城下町の至る所から発砲音が響いた。

それはまさかの裏切りである。


「馬鹿な、自ら城を破棄したというのか」

「見事だ安房守、一枚上手だったか!」

「引け、引け引けぇぇぇぇい!」


密集していた為に移動は困難になっていた。

発砲音にならしていた馬も、人の感情を読み取ってかパニックを落としており、最近の気が緩んだ状態が災いして迅速な動きが出来ない。


「火、火だ!」

「城下に火を放ったか、ここまでやるか安房守!」

「うぉぉぉぉぉぉ!」


撤退している際中でも状況は変わっていく、なんと町が火の手に包まれたのだ。

無造作に置かれたと思われた物は火が付き、今や進路の邪魔となっていた。

馬が炎を恐れて飛び越えることが出来ないからだ。


「馬は破棄して撤退する、奪われては適わん!足を切って放置せよ、そして慌てず進めぇぇぇ!」

「お、おぉぉぉぉぉ!」


敵からの攻められない為の工夫は、そもまま逃げられないようにする工夫になっていた。

遠回りして来た為に、このままでは諸共焼け死んでしまう可能性があるのだ。


「くそ、弁慶!兵を使って強行突破だ!街道の物を撤去しろ!犠牲は出るが、全滅よりはマシだ!」

「承知、うおぉぉぉぉ!」

「何だと、奴をどうにかしろ!」


弁慶は敵の銃弾に晒されながら燃えている荷馬車などを数台まとめてタックルでぶちこわす。

せっかく作られたバリケードも、この手に限ると言わんばかりに破壊されたのだ。

もしいなかったら数人が被害に遭いながら破壊したことだろう。


「国崩しは渡さなかったことが幸いか」

「殿、大変です!国崩しの火薬が引火しました!被害甚大でございます!」

「そのための火か!クソ、渡したのは火縄銃程度にしていたが、こうも入り組まれては装填の間に殺せん!」


苦戦しながら、トラブルに動じず城下町から抜け出す頃には死傷者多数で軍勢の三分の一が戦えなくなっていた。

僕の治療も間に合うかどうか、時間が足りないレベルだった。

だが、ここから更に追い込まれる。


「あれは、北条の旗」

「援軍か、いや待て!」

「うおぉぉぉぉぉ!」


なんと、ここに来て北条が裏切ったのである。

いや、そもそも最初から裏切るつもりだったのかもしれない。


「騎馬隊は、クソ・・・・・・馬は破棄したのだった!ええい、射撃部隊前へ!」

「どどどどうしましょう、ガトリングガンとか機関銃設置してないんですけど!アサルトライフルなんて連射だけで弾切れになっちゃいますよ!」

「まぁ、最悪我輩達なら逃げられるし」


だからってどっしりと窮地に構えすぎだと思うんですけど、慌てていると更に事態が悪化する。

それは、彼方から聞こえる馬の音だ。

なんと、後方から上杉の旗を持った騎馬隊が来たのだ。


「まさか、これも貴様の手のうちか安房守!」

「なんなんですか、リアルチートですか。未来予知とか出来るんですか!」

「まぁ待て、慌てる時間じゃない」


そう言って、慈円が数発スナイパーライフルを発射する。

すると、北条の奥にいた一番派手な人が撃たれた。


「ハッ、自己顕示欲の塊か知らんが大将首だって分かるぜ!」

「敵方、混乱しております!」

「よくやった、射撃部隊は馬を狙え!慈円は武将を狙い撃ちして指揮系統を乱せ、弁慶よ道を開け!」

「えっ、えっ、僕は?」

「なんもないわ!じゃあ、儂と来い!」


向きを反転させ、射撃部隊は馬を狙い撃ちする。

それによって転倒した馬に巻き込まれるなど、上杉の軍勢に影響が出る。

また、大将首だろ死ねと慈円が発砲する物だから北条も混乱していた。


「クカカカカ!」

「お、鬼だ!鬼だぁぁぁぁ!」

「今宵の我輩は修羅である」


弁慶の方は、何でか背後に仏像とか閻魔大王とか鬼とかゴチャゴチャとオーラ的な物が浮かんでいた。

それが殴ると人が飛ぶので物理的に存在している。

何ですか、スタンドですか?

おそらく、登場シーンの背景に出される具現化したオーラ的なエフェクトが現実かしたんだと思います。

もしくは幽霊とか操る格ゲーキャラ、今思ったけどあの人が一番チートだよ使ってないだけで!


「よく分からんが神仏の加護は我にあり、進め!ファランクスを作って進軍せよ!」

「たまには撤退戦も良い物だ!おい、首置いてけ!」

「それ島津の人だから、ウチは織田だから!」


ちなみに島津の方は銃の造形が深いので織田家と仲良し、ただしあの人達は死ぬまで戦おうとするから頭おかしい。

首とかすごい気にするらしいので戦場では一緒になりたくない、まぁ戦うことは今はないだろう。

貿易で銃とか扱ってるのに、刀の方が早いとか切った方がはやいとか銃だと首が切れないとかやっぱり頭おかしい。


「むっ、雨か!付いておるぞ!敵の火縄が使えなくなる」

「ヒャッハー、やっぱ薬莢は最高だぜ!」

「雨来た、メイン雨来た!よっしゃ、これで勝てる!」


本当に神仏の加護があるのか、運が向いてきて北条の群へと無理矢理突撃を敢行する。

周囲の、斬り合う人達には申し訳ないが僕達が生き残るために犠牲になって貰う。

彼らは撤退戦の犠牲になったのだ。


なんとか切り抜けることは出来たが、当初の三分の一しか残っていなかった。

そう、六割もやられたのだ。

三割で全滅と判断される、それは戦闘担当が三割減ると後は負傷者を運んだりで組織的に機能できなくなるからだ。

でも負傷者を見捨てて徹底抗戦でやっと六割に達することは出来る。

出来るけど、結局戦えない、戦わない者だけが生き残る結果となった。

ものすごい惨敗であった。


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