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VR戦国時代  作者: NHRM
12/27

手段のためには目的は選ばない奴等

信長様に褒められて土地を貰う事ができた。

本当は領地をやろうといわれたのだけれど、それって公務員みたいに区画整理とかしないといけないんだろうなと思って断った。

その分、結構な大きさの土地を貰った。

何故か、畑仕事をする際に使うといいと言われて村人まで手に入った。

まぁ、ゲームじゃ村人も家畜も勝手にやってきて手に入るので困ることは無い。


元々住んでいた所をここら辺見える範囲全部がお前のな、的なことを言ってくるんだから信長様はスケールが違う、さすノブである。

まぁ、今まで通りみんなと暮らすだけなのだがせっかくなので住みやすくすることにした。


「フハハハハ、私が神だぁぁぁぁ!」

「おい、なんか変な方向にクレイジーなんだけど」

「うむ、亜利栖にも若気の至りが来たと言う事だろう。そろそろ中二ぐらいだろうし」


地面に額を擦り付けて、拝んでいる人の間を生産をしながら進んでいく。

すると、地面が繋ぎ目のない石畳へと変貌する。

荒れ果てた田畑は柔らかい整備された土の畑に、弱りきった田畑は落ち葉や糞尿を撒いて生産で栄養豊富な土地に変える。


慈円の育てたNINJA達に家がないと聞けば、森に入って生産を使い開拓村を数日で作り上げる。

噂を聞きつけて仕事がないという浪人が村に来たら、仕方ないとばかりに仕事先を作ってやることにする。

みんなで石を掻き集めて、村を囲むように城壁を作った。

出来上がった城壁に、浪人は泣いて感謝して今では門番となっている。


「たいまつを、たいまつを作るのです!レッツ、トーチ!」

「おい、最近働きすぎじゃないか?」

「あぁ、湧き潰ししないとMOBが、MOBが!」

「お前は何を言っているのだ。最近おかしいぞ?」


ち、違うんです言い訳させてください。

ちょっと整地しようと思ったら広範囲に整地してしまったので、もう家を建てるしかないじゃないですか!

直下彫りしてたら、思わぬくらい深くて戻れなくなったけどアレは城壁の為だし仕方ないじゃないですか。

一回気になったら作るしかないですし、作る為に材料から作るのも仕方ないじゃないですか!


「やだやだ、作るの!どのレベルから作るんだ、最初からだー!」

「薬でもやってんのか?このバカは」

「恐らく物を作る度に村人が絶賛するから楽しくなってしまったのだろう」


まだ、品種改良もしてないし城壁と村を作っただけじゃないか。

これから保存食とか、あぁ服も作りたいし、米作りもしないといけない。

あと、水路とか堤防も作りたいし、とにかく作らせろ!


「宗教は人を狂わせるって分かるな」

「えっ、これ我輩達のせいなのか?」

「材料を集めてくる信者をどうにかしないと、延々と作り続けるぞ。これパターン入ってるだろ。さっきだって維持管理とか言って家を壊して、新しく作ってたぞ」

「作るものが無いから壊すとか本末転倒、いやでも老朽化の改善なら、しかし……」


悩ましいと頭を抱える弁慶達、そんな彼らの元にあの人はやってきた。

そう、見た目は猿でも頭脳は人間、その名も木下藤吉朗秀吉である。


「あっ、猿」

「亜利栖殿、その呼び方どうにかなりませんかねぇ」

「おう、猿じゃねぇか。何かようか」

「猿殿、良くぞ参った、ヌハハハ」


がっくし、と項垂れる猿。

まぁ、当然わざと弄っているのである。

それにしても、今日はいったい何の用だろうか。


「亜利栖殿、頼みがございます」

「どーしたんだい、猿くん」

「亜利栖殿の御仏の力をお借りしたく、どうかお力添えを、どうか」


目にも留まらぬ速さで綺麗な土下座を決める秀吉。

凄い、なんて年季の入った動き。袖の長い着物に皺一つ付けない綺麗な所作。

その上、菓子折りまで持ってくるとは……


「こ、コイツは!?」

「どうしたんだ慈円?」

「旨い、なんて旨い干し柿なんだァ!」


慈円がなんだかノリノリでお土産の干し柿に齧り付いていた。

って、それ僕のなんですけど……


「実は殿が松平と同盟を結びまして、これを機に美濃に向けて兵を動かす動きがあるのじゃ。そこで、亜利栖殿の所からも兵をお借りしたい」

「美濃ってどこだろう?」

「あれだろ、殿の奥さんが住んでた場所」

「えー、嫁姑戦争って奴?」


良く分からないけど、信長様と昔マブダチだった松平家康って奴が同盟するから戦争するよという話らしい。

家康、惜しいねニアミスである。

村で戦える人は、いつの間にかやってきた浪人とか難民とかでたくさんいる。

農業が僕の生産で楽になったから、みんな住み着いて暇な人は弁慶と慈円によって鍛えられていたのだ。

これが兵農分離って奴だと思う。働いてるの殆ど僕って、こんなに辛いならチートなどいらぬ。

量産した火縄銃は三百丁ほどあるので、まぁ戦えなくはないだろう。

慈円の時代は銃だぜヒャッハー思想のせいである。あんなにいらないと思ってたのにすぐに使い道が出るなんてな。


「よし、貸しても良いが金を寄越せ。この前みたいなクソなのだったら殺すからな」

「相変わらず、口が悪い女じゃの……」

「あぁ!?」

「分かり申した、ちゃんと払う!払うのじゃ」


数ヵ月後、秀吉の頼みで村の何人かが出稼ぎに行く。

出稼ぎ傭兵という奴で、慈円はスイス傭兵を思い出すぜと物知り顔で語ってくれた。


「おう、じゃ行って来る」

「うむ、村は我輩と亜利栖に任せるがよい」


みんな御揃いの動物の皮から作った革鎧に、火縄銃と脇差を持ち、長い槍を背負って移動を開始する。

結構な軽装だが、遠くから撃って、槍衾で威嚇して、最終的に脇差を投げて逃げる為の装備だからだ。

戦い方がみっともないとか情けないとか、そういう意見もあったけどウチの村は命は大事になのだ。

一方的に殺して、生き残れば勝ちという考えが根底にあるので潔く死ねとかいう武士道とはちょっと相容れないのは仕方ない。

一糸乱れぬ整列をして、村から行軍が開始した。


慈円達は木下の下に戦支度を整え、馳せ参じた。

木曽川を越え美濃へと進軍する。


「遅い、ちんたら歩いて日が暮れちまう」

「何言ってんだ、行軍が一日で終わるわけねぇべ」

「あっ、猿の癖に生意気だぞ!」

「痛っ、蹴るなよ。御主から聞いてきたんじゃろ!」


普段の訓練よりも楽過ぎる行軍に不満が溜まる。

その理由としては周囲は重い鎧を纏っていたり、そもそも農民を兵士に仕立て上げただけで職業軍人ではないというのがあげられる。

我が村の戦士は日ノ本一ィィィ!的な訳だ。


実濃へと進軍し、案外あっさりと城近くまでやって来てしまった。

道中には兵士だけでなく、商売人や遊女等が来ておりピクニックかよと思わずにはいられない。

今からこういう理由で攻めますとかそういうやり取りもしているし、敵の前で陣形など作っていたりと何だかイメージとは違う。

更に、慈円の下にいる無駄に変な意識の集団は浮いていた。

戦場に非戦闘員がいるなんてとんでもない、やるなら早く殺そう、死んだ異教徒だけが良い異教徒だ、なんて思想に被れたヤバイ奴等と認識されていたくらいだ。


「何時になったらはじまるんだ?」

「まぁ待て、合図を待つのじゃ」


慈円達が来たところでは工事が行われていた。

どうやら城を作っているらしいのだが、それを阻止するのが今回の戦らしい。

わざわざ教える物だから川を挟んで自軍と相手の陣形が整うのを待ってから戦が始まる。

見つけてから始まるまでに、物凄いラグがあった。


「さぁ開戦だ!オラ、死ねや!」

「異教徒に死を!死を!」

「異教徒に死を!死を!」

「異教徒に死を!死を!」


いざ、戦が始まると数回切りあっただけで敵は逃げていく。

何故か味方の何人かも襲ってきたが返り討ちにする。

他の部隊はバラバラに戦っていて、整列して戦っている集団は少なかった。

何人かで、大まかな方針に従って、刀で殴って弱らせたから短刀で一生懸命相手の首を切ってるのだ。


イメージしてた戦と比べるとじゃれ合いに近く、今川の時と物凄く違う。

隊列をファランクスのように組んで、チクチクと槍衾で攻め、その後ろから断続的に火縄銃を撃つ。

それだけで敵兵は逃げるし、そもそも近付いてすら来ない。


「突撃ー!首なんかいらねぇ、殺せぇぇぇ!」


他の部隊のように、戦果として首なんざに目も暮れず突撃する。

少し追いかけ回せば鎧のせいで相手の方が体力が持たず、槍と火縄銃で息絶える。

此方も火縄銃で何十人か死んだが、部隊の一割ほどであった。


「最後の一兵卒まで敵を殺せ!突撃せよ!私に続けぇぇぇ!」

「うわぁ、こっち来たぁぁぁ!」

「もう、アイツらだけでよくね?」


前線は頭のおかしい集団によって崩壊、敵前逃亡により此方の勝利となった。

なったのだが、慈円は欲求不満でイライラしていた。


「逃げんな!こんなん戦じゃねぇ!」

「死にたがりかよぉ、亜利栖殿の所ヤバイ……」

「おい猿、追撃戦やんぞ!乱取りなんか忘れろ!」

「部下が納得いかないのじゃ!無茶言うなやぁ!」



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