戦国時代って労働基準法がないんだって
信長さんの部下になって半年が過ぎた。
今まで何をやっていたかというと工事だ。
色々な場所に行って生産で平たい道に整備したり、その都度で信者が増えてお布施を貰ったり、何故か宗教家なのに武器を持った人達が弁慶と慈円に殺されたり、同じ生活を続けていたらあっと言う間に半年である。
弁慶は仕官してから、基本的に戦闘訓練をさせられていた。
僕でも知ってる中国拳法とか空手とかプロレス技を農民の人達に教えるのだ。
農民の人達は軍人じゃなくて、呼ばれたら戦う人なので弱いからだ。
一応軍人もいるらしいが、ちょっとだけで兵農分離っていうらしい。
兵士と農民が分離するのかと思ったが、そうではなく階級の区別を付ける意味だそうだ。
違いは分からない。
弁慶の訓練を受ける上で、問題になったのが走り方だ。
みんな、腕と足を同時にすり足のように出して走るのだ。
普通に走ると草履が取れてしまうからというのもあるが、なんかそういう文化みたいだ。
なので、すごく遅いのだ。
そのせいで、足に合わせて靴を作らされるハメになった。
部屋の中で延々と皮と木を合成する毎日、アレ利用されてません?滅茶苦茶利用されてません?
何の為の亜利栖教なんだよ、なんで信者増やす為に働いてるんだよ。
まぁ、お陰で靴を貰った人の何名かが入信したみたいだけどね。
そんな感じでみんな走るのが速くなった。
でもって、何故かみんなで走りこみ。鎧を着ての走り込みはいつみても辛そうである。
次は武術、色々なのを知っている弁慶はイキイキして教えている。
ただ、武術は殺人拳だから効率がいい殺し方とか物騒なことを言っていた。
「さぁ、走りこみが終わったらスパーリングだ。ボクシングはいいぞ、効率よく殴れるようになる」
「次はシラットだ。十二のジュルスを覚えればゲリラ戦も余裕だ」
「よし、柔術やるぞ!投げれば首の骨を折って殺せる、寝転ばせれば一方的に攻撃出来るぞ」
「いいか、カポエイラを極めれば寝ていても戦える。足を鍛えるんだ!」
「中国拳法、明だかの武術は奥が深く色々あるぞ。八極拳なんか効率的でいいぞ」
色々な種類があって面白かった。武術って武器を使うのもあるんだね、素手だけかと思ったよ。
ただ、なんか見たことあるおばあちゃんがやってる武術の話を聞いた時なんかは、これは鼓膜を破く技、鼻を削ぎ落とす技、目を抉り出す技、と解説してくれやがった。
グロイグロイ耐えられない、健康法だと思ったらとんでもない奴だったよ。
因みに八極拳っていうんだって……
弁慶はそんな感じでお給料を貰っていた。
俸禄とか良く分からないけど、お金を貰っているらしいので給料でいいだろう。
ちなみに僕の場合は、武器を整備したり土木工事したり畑のコンサルティングしたり勉強を教えたり文字を習ったり、働きすぎだと思う。
労働基準法は戦国時代にないのでブラック過ぎる。
しかも、文字がミミズのようで書けないという問題があった。
一応、読めるんだけどなんでだろうか。
そして、慈円はというと忍者を雇って私兵を作っていた。
忍者である、NINJA、正式名称National Intelligence agency of JApan 日本情報分析局だ。
慈円的にはこだわりがあるらしく、こんなの忍者じゃないとか言っていた。
日本食って鉄板で卵ぶつけて引火させたり花火使う奴だよねと言った時と同じ反応だったので、時代が違うと文化も違うみたいだ。
でもって僕達が知っている秘密結社かと思ったら、普通にこの時代はたくさんいるみたい。
しかも、忍んで無い。募集したら集まるくらい、なんでかというと難民だからだ。
難民なのでフラフラして、武士にもなれず、汚い仕事や情報を売り買いしてるんだってさ。
だから、私の知ってる忍者じゃないと慈円がキレて、忍者を雇って色々と教えてもらってから自分で私兵を作る事にした。
慈円の考えた忍者部隊だ。
忍者は難民だから待遇が悪いらしく、逆に立場が悪いから忍者になるって奴らはいない。
でも、慈円が教団から志願兵を集めたら何故か沢山集まった。一体何を目指しているのだろうか。
取り合えず、現役忍者から色々と教わった慈円は装備とか変装とかを教えるようにした。
訓練内容は弁慶と違って、不意打ちなどの暗殺ばっかりだ。
近接系の格闘術を慈円が使えるので、それを教えている。
因みに僕は吹き矢とかナイフとか量産しているよ、なんでここでも働かされるのか。
まぁ、鉄とかが少ないから数は作れないけどね。鉱山とか見つかったら過労死するね。
ちなみにステルス迷彩はこの時代にはないんだって、高周波ブレードとかもないそうだ。
「いいか、草とか乱破とか馬鹿にされているのは忍者じゃない!忍者ってのは奇襲撹乱に優れ、暗殺や情報収集、ステルスミッションからCQC、などを行なう特殊部隊だ!特殊部隊は、普通の部隊より強い!諸君らに求めるのは城などに潜入し目的を遂行することだ。一人で城を落とせることが目標だ。大丈夫、声を出す前に殺して隠蔽すれば見つからない。見つからないで任務を遂行する、それが忍者だ」
「はい先生!」
「よし、まずはサバイバル技術を教える。食料は現地調達だ。先生のオススメは蛇だ。鳥に似てうまいぞ。次にナイフだ。刀の防ぎ方、組み伏せる方法、多対一を想定した闘争方法を教える」
なんだか、僕の知っている忍者とも違う気がするけど慈円は日本について詳しいからアレが正しい忍者何だと思う。
因みに慈円の参考は、速すぎて分からなかった。
飛びかかっていつの間にか背後から抱き着いていてナイフで首を一撃とか、武器を逸らして手首を斬るとか、掴んで投げ飛ばして間接技を掛けるとか、首を一撃で折るとか、忍者って凄いってことしか分からなかった。
そんな感じでみんなの手の届かないところでお手伝いして過ごしていた。
ちなみに僕が自主的にやったのは馬だったりする。
改造した、遺伝子改造サラブレッド君が種付けして子供を作ったので色々と準備した。
一年くらい生まれるまでに掛かるらしいので、今は無理だけど馬具を充実させた。
例えば、鞍と鐙。戦闘用の馬なので大きくて速いから必要になると思って革や鉄から作った。
自分が馬に乗りたかったのもあるけど、馬の背中って滑って座り難かったりする。
なので、鞍というクッションのような物を付けるのだ。
これにより安定して乗ることが出来るよ。
次に鐙、これは鞍とセットで左右1対を吊り下げた足場を騎乗時に足を乗せるんだ。
一応日本では昔からあるらしいんだけど、これらは形が違う奴で戦闘用じゃなくて乗馬用だったからすぐにズリ落ちたりする。固定の仕方とかが違うからだ。
次に蹄鉄、これは足、蹄っていう爪先の部分に付ける装備。
チタンっぽい金属を見つけて作る事にした。
U字型の金属で足を保護する物だ。
馬沓とかいう馬用の草鞋が既にあって、そもそもこの時代の馬は足が固い種類だし走らないからみんな使わないらしい。
でも、遺伝子改造したサラブレッドの子供は走ったりするから必要かなと思ったのだ。
ちなみに馬ごとに最適な形があるけど、サラブレッドで試したら何となくで分かってしまったので上手くは行きそうである。
一応、馬装という物があるが文化が未熟なので安っぽい前掛けみたいな物を付けて矢から守ったりしているだけである。
っていうか馬は狙ってはいけないとか言う謎ルール、それと無駄な装飾、維持費の問題でそもそも数が少ないとか色々あるらしい。
まぁ、これからノーフォーク農法をやって餌をどうにかできるから問題ないはずだ。
そんな感じで過ごしていたら、堺というところから僕達に近い見た目の南蛮人がやって来た。