Bathガス爆発
第三十一期テーマ短編参加作品。テーマは「お風呂」、ジャンルはコメディーです。
「俺、お風呂の栓になりたい」
いつもの男三人で昼飯を食べていると、有田が突然そんなことを言い出した。
「いや、そこはお風呂の椅子だろ。女の子のお尻の感触を堪能し放題だぞ」
大瀧が声高々に主張する。いや、ここ会社近くの定食屋なんだからさ、もう少し自重しようか……。
「お前本当お尻好きだな。前も女子高生の自転車のサドルになりたいとか言ってたし」
「お尻の可能性は無限大だからな。ハッハッハ」
このように大瀧はお尻好きの変態だ。でもこの三人で大瀧にだけ彼女がいる。本当に解せん。
「そういうお前はどうなのさ。お風呂の何になりたい?」
お風呂ねえ。そんなこと考えたこともなかったな。いや、お風呂にある物の何になりたいだなんてこと、考えたことのある人の方が少ないとは思うが。
「そうだな……強いて挙げるのなら、シャワーとか? 自分の力で身体を流したり暖まったりして、誰かの役に立てるのなら」
「ほう。やっぱお前はロマンチストだな。そんなんだから、彼女の一人も作れないんだぞ。ロマンだけじゃなくて、時には強引さだって必要なんだぜ」
ぐぬう。大瀧に正論を言われると悔しい……彼女持ち故無駄に説得力があるのが余計に。
「で、有田は何でお風呂の栓なのさ? 一番意味がわかんないんだけど」
「そうだそうだ。お風呂の栓になったところで、女の子にチヤホヤされるわけじゃないんだぞ」
有田は爽やかに笑いながら、言い放った。
「密着して吸われる感覚を想像したら堪らなくって」
少しの沈黙。
「……とりあえずお前の頭がおかしいのはよくわかった」
「何というか、異次元過ぎてついていけん」
有田が突拍子もなく爆弾を投下することは、いつものことなんだけどな。これだから、女子を自然と遠ざけてしまうんだろうな。見た目は爽やか系イケメンなだけに、勿体無い。
「いやいや、結構落ち着くと思うぞ? ほら、搾乳器に吸われてると思えばーー」
「ねえよそんな体験! 搾乳器ってなんだよ。どこで触れる機会があるんだよ」
「高校ん時付き合ってた彼女が持ってて」
有田が照れ臭そうに頬を掻く。いや、そこは照れるところではないだろ。
「嘘だろ!? 搾乳器持ってる女子高生って何だよ?」
「結構楽しいぞ」
「何に使ったんだよ!?」
「ナニにだよ」
「うっさいわ!」
そう二人で盛り上がっていると、大瀧に肩を掴まれた。
「お前ら……店の中なんだから、もうちょっと静かにな」
周りを見渡せば、四方八方から冷たい視線が突き刺さった。
「悪い。つい熱くなった」
まさか大瀧にまともな注意をされるとは。俺も配慮が足らなかったな。
「それはそうと、お風呂の鏡もいいよな。裸見放題」
周りの冷たい視線がより一層強くなった。
「だーかーらーお前はもう少し場所を考えて発言しような。そもそもお風呂の鏡なんて曇ってて何も見えねえよ!」
「……だから声が大きいぞ」
ああもう! もどかし過ぎて今すぐバスに突っ込んでバーンとサッパリしたいぜ! お風呂だけにな!
「お風呂の話題なのに寒くするなよな」
「うっさいわ!」




