不穏
キーンコーンカーンコーン
校内に授業終了のチャイムが鳴り響く、と同時に生徒全員が開放感と達成感に満ち溢れ ゲームを買ってもらえなくて残念だった子供のような顔から、
1億円当選した宝くじをこれから現金に交換しに行く人のような
希望に満ち溢れた表情へと変化する。
そしてこの俺も恥ずかしながらその中の一人であったりもするのだ。
さっさと掃除を終わらせると自分のクラスに向かう、
ここ(鍛金室)は地下2階なのでエレベーターが来るのに少々時間がかかる、
だが、この少々の時間が俺にあることを思い出させた
「渋谷先生は俺になにを隠しているのか・・・・・・」
エレベーターを後回しに渋谷先生の元へと走った、
「渋谷先生!!!!」 俺が名前を叫ぶと渋谷先生はビックリした表情で
こちらを向く 「おお渡辺!どうした!?」
「どうしたじゃないですよ先生!教えて下さいよ!俺に何を隠してるんですか!先生が鍛金室に入るなんてなにか理由があるに決まってるじゃないですか!正直に教えて下さい!先生!」
先生は何度か目をそらそうとするが俺の鷹のような鋭い眼光から逃れることはできなかった。
約10分に渡る無言状態が続くと先生は道具を片付けだしこう言った
「まず、座れ。」
言われるままに俺は席につく
続いて渋谷先生も対面に座った
「渡辺・・・・・・黙っていて悪かった、俺は鍛金室で「コップ」を作っているんだ」
「コップ??」
「おう、 コップだ」
「なぜコップを・・・・・・?」
「実は、寺ちゃんが来年からこの学校を辞めちゃうんだよ だから最後に
プレゼントとして渡したかったんだ、そうすれば寺ちゃんも喜ぶだろ?」
俺はこの単純な返答に驚き、逆に何も言い返せなくなってしまった
そしてそのまま教室へと向かった。
しかしなぜ・・・・・・そんなことなら隠す必要なかったと思うのだが・・・・・・