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「世界を浄化する」

 思い出なんかない。


 全部死んでしまえ。全部、全部全部死んでしまえ。


 死んでしまえ。




「お母さん、お母さん……お母さん……」

「お母さんはここにいるよ?」

「お母さん、どこにもいかないで。お母さん……」

「お母さんはどこにもいかないわ。絶対よ。約束」

「約束。……おやすみ、お母さん」

「おやすみ」




 嘘吐き。


 死んでしまえ。




 死んでしまえ。







                            ■



 眠れ、眠れ、眠れよ子猫。そしたらすべて薔薇色さ。眠れ、眠れ、眠れないなら、そっから先はお先真っ暗。あっはっは、こりゃ傑作だ。

                  『嬉々歪々のメイシュルストム・モナウ』より




                            ■



 僕は時々思う事がある。矛盾と理不尽が飽和したこの世界は、果たして必要なのだろうかと。物事を究極的に単純化すると、最後には何も残らない。無だ。突き詰めれば全ての物事が無意味。それどころか滑稽な足掻きに見えてしまう。



 例えば、お姫様を助けようとする王子は、結局のところ永遠に幸せにはなれない。助けても死。助けなくても死。助けられなくても死。死の八方塞はっぽうふさがりだ。幸せはその事実をうやむやにするまやかし。大人騙しの叶わぬ目標。



 足掻け足掻けと、誰かが嗤うのが聞こえる。世界がもし必要なのだとしたら、それは一体誰の為に? 足掻く者の為? それとも、嗤う者の為?






「私は嗤う者。あなたは足掻く者。この意味わかるよね?」


 

 少女は笑う。否、嗤う。その端正な口を歪ませて。


「さあ、足掻きなさい。足掻いて足掻いて、そして、足掻きなさい。そしたら救いがあるかもよ?」








 

 これはいつの記憶? 現在? 過去? あるいはもしかして、未来?



 





 集束は、収束は、終息は、夢のまた夢。








「世界が穢れたって、世界は世界」

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